SLIDER 場外乱闘・番外編 パ・ク・リ

 あくまでも個人的な意見ですが、国内のスケートシーンでは、動画やデザイン、企画やメディア、Webサイトに至るまで似たような内容のものを多々見かけます。平たく言えば「パクってる」ということなんですが、それほど規模が大きいとは言えない日本のスケートシーンのなかで、なぜ似たようなものを作ってしまうのか不思議でしょうがありません。「似たようなもの」ならまだしも、明らかに元ネタの劣化コピーと言わざるを得ないないものも少なくないので、理解に苦しみます。
 自分もものづくりの端くれとして、これまで雑誌編集やWEB制作などに携わってきました。自分のものづくりのモチベーションは「いいものを作る」というのを大前提とすると「いままで誰もやったことのない表現」や「いかにオリジナリティを出すか」というところが大きいです。自分のスタンスがこのようなものなので、やはり前述した「パクリ」を理解することができません。
 そもそも、すべての作品には作った人の思考や性格、人間性だったりが現れるものだと思います。ですので、他人の表現をパクる人は「私にはアイデアがありません」とアピールしているようにしか思えません。確かに、フォーマットとして完全に定着したものもあるので、一概に似たものすべてをパクリと呼ぶのもどうかと思いますが…。

 「おいパクリちゃう、サンプリングや!」というパンチラインはラッパーのSHINGO☆西成ですが、もちろんサンプリングやパロディはアリです。私見ですが、サンプリングとは「元ネタに敬意を表し、元ネタにオリジナルのアイデアを加えた新しい創作物を作ること」だと思っています。

 手間ひまかけて手がける創作物です。クリエイターは安易なパクリに走るのではなく、オリジナリティ溢れるアイテムを作るべきだと思いますし、受け手側も「パクリはイケてない」という明確な判断基準を持つようになれば、このような残念な行為は減っていくと思います。そしてそれがクリエイターへのリスペクトやシーンの発展、クオリティへの向上へとつながっていくのではないかと個人的に思います。



わかりやすいサンプリング例をご紹介。こちらは元ネタのカーティス・メイフィールドの“Move On Up”


“Move On Up”のイントロをサンプリングしたカニエ・ウエストの“Touch The Sky”