SLIDER 場外乱闘・番外編 STYLISHなスケーターの◯◯

 スタイリッシュなスケーターの◯◯によるなんちゃら、ってやたらスケート関連メディアで濫用されてるような気がするのは自分だけでしょうか。ひと昔前だとスタイリッシュって言葉を使うのはかなり勇気が必要だったというか、スケーターにとって特別な意味合いを持つ言葉だけに、昨今の右も左もスタイリッシュスケーターってのには違和感を覚えます。スケーターの分母が増えているので、その分スタイリッシュなスケーターが増えているというロジックかもしれませんが、自分の意見は真逆で、ひと昔前に比べてスタイリッシュなスケーターは減っているのではないかと感じています。
 そもそもスタイリッシュなスケーターってどんなスケーターを指すのでしょうか。漠然として定義が明確ではないだけに、誰にでも当てはめてしまうことができなくもない言葉なのでやっかいです。異論反論を覚悟の上で持論を展開させてもらうと、佇まいというかスケートする姿が“優雅”であることがその最たるものだと考えています。そしてもうひとつは少し矛盾するけど、優雅のブラインドサイドに刹那的な雰囲気を醸し出しているスケーター。それはアティテュードからきているものなのか、生き様なのかは分かりません。「じゃあお前の言うところの優雅さって具体的になによ?」って突っ込まれる前に突っ込むと、スケートスキルの高さは大前提で、トリック、スポット、服装なんかのセレクションも関わってきますが、最終的には動きです。その動きの中でも、スタイリッシュなスケーターの共通点は “手(腕)”にあると思っています。スラっと長い腕でいてアグレッシブな腕の振り方をする人。身近なところで名前を挙げさせてもらうと、内田 競、細田大起、片方 遥、権正純一。彼らの映像を観る時はついつい腕の動きに注目してしまいます。そんな彼らの滑りは、映像でも生でも渋さやクールさを超えた別レイヤーのかっこよさをつねに感じさせてくれ〼。ここで語弊のないように付け加えさえさせてもらいますが、前述はあくまでも個人的な見解なので、なにをもって誰をスタイリッシュなスケーターと感じるかは千差万別です。ただ、テールもろくに叩けない編集者(?)がいたずらに“スタイリッシュなスケーター”を増やすのはやめていただきたいものです。なんたってごく一部の限られたスケーターのみに与えられるべき特別な称号なので、大切に取り扱って「ほし〜の!」。

内田 競



細田大起



片方 遥



権正純一