SLIDER 場外乱闘・番外編 中年男性 vs スケートボード

 先日、海外のさまざまなスケートメディアがアメリカのタブロイド紙であるNew York Postが掲載した記事を「これまでにスケートボードを扱った記事でもっともバカバカしいもの」だと批判しました。今回のコラムでは、その記事を翻訳してみなさんと共有したいと思います。

以下、New York Postによる問題の記事:

スケートボードは今や青春時代に戻る最適なツール?


流行りのバーに到着し、クリスティーナ・スイフト(左)とドミニク・リッツォ(右)の気を引くシリル・セリエン 。

 オーダーメイドのイタリア製スーツにドレスシューズという出で立ち。39歳のIT起業家、シリル・セリエンは水を得た魚のように優雅にマンハッタンのストリートを走り抜ける。そして流行りのバーで止まると、女性たちが彼と話そうと列をなし始める。
 「スケートボードは女性を惹きつける磁石のようなものさ」と彼は言う。
 中年男性がミッドライフ・クライシス(中年の危機)に直面したときに派手なスポーツカーに乗って落ち込んだ気分を紛らわすというのは時代遅れだ。少なくともニューヨークに住む一部の中年男性にとっては、スケートボードこそ青春時代に戻ることができる最適な乗り物なのである(セリエンの場合、表が黒で腹がレインボー柄)。  「オレはスーツを身にまとっている……しかも、スケートボードに乗って」。セリエンにとって、スケートボードに乗ることこそ異性の気を引く最適な方法なのだ。「女性は珍しいものが好きなんだよ。スケートボードは最先端だけどやりすぎていない感じがいいのさ」と彼は話す。
 子どもの頃にスケートボードで遊んだ経験を持つセリエンは、街での移動手段として最近またスケートボードに乗り始めた。そのおかげで、1日に2、3人の女性に話しかけられるようになったのだ。さらには、Dapper Deck(訳注:粋なデッキ)というファッションとスポーツを網題材にしたブログを立ち上げる予定だという。誰もがスケートボードに好意的な感情を持っているわけではないようだが。


「スケートボードは女性を惹きつける」とセリエンは話す。

 「私の弟も昔はスケートボードをしていたわ。でも16歳になって高校に入学しやからすぐにやめたの」と話すのは、ニュージャージー州に住むクリスティーナ・スイフト。
 つまり、セリエンは多くの高校生が見向きもしないスケートボードに乗りながらも、金銭的な成功を収めているということだ。


マンハッタンの街をスケートボードで颯爽と走るセリエン。

 ブルックリンはダンボに店舗を構えるスポーツショップAegir Boardworksの共同オーナーであるピーター・フロリックによると、近頃は売り上げの半分が中年男性によるものだという。'80年代のデッキが次々と復刻し、中年男性がそれらを懐かしがってお金を落としていくというのだ。
 「そのほとんどがひとりやふたりの子どもを持つ30〜40代の弁護士、銀行家、またメディアで働く人ばかりですよ」。しかも、彼らは1本$250もするものを複数台購入するのだという。
 「私たちはミッドライフ・クライシスに苦しむ中年男性の支援をしているのですよ」と笑いながら付け加える。「一見、スケートボードを知らなさそうに見える人だって昔はスケートボーダーだったということもあります。そんな人たちが昔を懐かしがるんですよ。自転車と比べると安いですしね」。言うまでもなく、セラピーよりも安いというのも特記しておきたい。
 「深夜の車の少ない道路をスケートボードに乗って帰宅するのが最高だよ」と話すのはニュージャージー州在住、41歳のシェフ。彼もまたマンハッタンをスケートボードで移動しながら仕事をするひとりだ。「気分爽快で自由を感じられると同時にワルっぽくもある」。街でスケートボードに乗った彼の姿を見てびっくりし、大口を開ける人もしばしば。しかし、そんなことは彼にとってお構いなし。「世界が違って見えるんだ。生活のペースを落とすことができる。スケートボードに乗っていると周りの環境に感謝できるようになるんだ」
 一方で、「自分が何もやっているかしっかりと知っておく必要がある」と話すのはプロスケートボーダーであり広告代理店の副社長でもある、44歳のスティーブ・ロドリゲス。彼は5Boro Skateboardsのオーナーでもあり、スケートボードに乗って高級レストランに足を運びディナーを楽しんだ経験があるひとり。「文化的に見て、このようなことをして許される人とそうでない人がいる」と彼は話す。
 ぎこちなく$1,000もする高価な電動ロングボードに乗るポーザーを憐れむ声もある。人生の大半をロングボードに乗って過ごしてきたという24歳のジェレミー・ヒルの意見はこうだ。「そんな人を見ると、すぐにミッドライフ・クライシスに苦しんでいることがわかるよ。彼らは無駄遣いできるほど裕福で、高価なロングボードを買うことができる金持ちばかりだ。そして、それを見せびらかして“オレもオマエと同じようにイケてるんだ”って思いたいんだよ」


スケートボードでどこにでも行く44歳のスティーブ・ロドリゲス。それは高級レストランでも同じ。

 ポーザー持ちで女性にモテモテの中年男性。ミッドライフ・クライシスに打ち勝つにはスケートボードが最適。表が黒のデッキとありますが、これはグリップテープの黒のことを言っているのでしょう。この記事がバカげていると思うかどうかは読み手の自由です。ということで、VHSMAGもSLIDERも真摯にスケートボードと向き合った情報を発信していきたいと思う所存でございまする。