Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム

第14回 : 永遠に若く

 お世辞にも20代には見えない私。それもそのはず三十路に突入してから数年が経ってしまった。ソバカスと信じたいがシミであり、幸せ故の笑いジワと信じたいがホウレイ線なのだ。日焼けが怖くて日差しの強いところでスケートするのを恐れている。シワが深く刻まれることを気にして、思いっきり笑うのをためらう。そして悲しいことに、この夏にまたひとつ歳を重ねる。歳を重ねている割に、心や脳みそが追いついていないのが1番の問題で、気分はいまだ10代なのだ。まさか中2とは言われたくない。

 先日あるスケートイベントでアルコールを売店まで買いに行った時のことだ。20歳以上は身分証を提示し、飲酒可能な証としてリストバンドを貰える仕組みになっていた。財布から免許証を出そうとすると、陽気な店員のお兄さんが「出さないでも大丈夫ですよ~」と言った。ふと“なんてゆるいイベントだろう”と思ったが、よく考えてみたら軽いパンチを食らった気分になった。「ああ、見せなくても十分大人って分かるよね」。誰が何処から見ても、例え視力が低くても私が20歳以下になど見える訳がないのだから。しかしお兄さんは私のジャブを笑顔でサラリと交わした。「ぼく、信じてますから~」。なるほど! 上手く避けたじゃないか。無駄に感心してしまった。

 しかし一方で、アジア人は若く見られることが多いと思う。これはアメリカでの実体験。あるイベントで19歳のガールスケーターと仲良くなったのだが、スケート中に彼女は私に自分の荷物を託してきた。私も滑っているのに「これ持ってて」と言ってきた。ついでに「あれ取ってきて」と顎でつかわれた。後で一緒に食事へ出た際、レストランで私がお酒を注文しようとして彼女が驚いた。「嘘でしょ? 今すぐIDを見せて」。どうやら、私を歳下と思っていたらしい。その時私は31歳だった。

 続いてイギリスでの出来事。日本人の友達がデリでお酒をまとめ買いしようとしていた。彼女はイギリス生活に慣れていたので、もちろんIDを持参していた。私が一緒に並んでいると「この子も飲むの?」とレジのお姉さんが聞いてきた。否定したのだが「この子がいるなら、あなたのIDがあってもお酒は売れないわ」と言われてしまった。私はすかさず「でも私は33歳ですよ(笑)」と反論。しかしお姉さんは「私にはそうは見えないから、とにかく悪いけど売れないわ」と言った。とても複雑な気分だった。「美味しいよ」とすすめられたアルコールをウキウキ気分で彼女に買って貰おうと思っていた。若く見られてうれしいけど、私のせいでみんなまで飲めなくなった。とにかくイギリスは厳しいのである。

 結果として、私は欧米であれば10代で通用するということが言える。日本にいれば自然と自分の年齢を意識し、時に「もう私はおばさんだから」と何かを諦めなくちゃいけない気持ちにさせられるのである。しかし「16歳くらいに見える」と言われた暁には、いつまでも10代気分で許されているような感覚だ。なんて幸せなことだろうか。私の海外旅行好きの本当の理由はここにあるのかもしれない。偽りだが若者気分でいられ、背伸びをする必要などないのだから。海外では私のシミはそばかすになり、ホウレイ線を気にせず大きな口で元気に笑える。その笑顔に偽りはない。

 さて、次はいつ現実逃避へ出かけようか。

–Chihirock

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