Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
DAISUKE MIYAJIMA

M×M×Mの敏腕スタッフにして自称映像作家のジマこと宮島大介。
伝家の宝刀Fs 180フリップをなくした今、どこへ向かっていけば
いいのか迷走中。本能の閃きをたよりに書き綴る出口なしコラム。

第28回:複合系トリック

 ここ1年ほど歯医者に通っています。ちょっとずついろんな場所をリペアし、そろそろコンプリートというところで工事中の歯の隣の銀歯がいきなりグラグラになり噛むと激痛。飯も食えない、なるべくふわっと口の中で噛み合わせをユルめながら、土曜日の朝10時30分に歯医者の予約。「やっと何とかしてもらえるわ~、良かったわ~」と胸を撫で下ろしながらスケートを楽しんでいたフライデーナイトに突然新しく別の不幸が降って参りました。
 超メチャクソ鬼マブイ光くらい速いカーブでスーパーまくられて左手を強打しまして「ハァァッ」っと思って左手を見ると親指の爪が2/3くらい剥がれちゃってるのが一瞬で分かりました。これ見たらすぐ分かる…ヤバいやつやんッ! 楽しかったスケートの現場を一瞬で凍らせてしまうほど仲間に申し訳ないことはないので、とりあえずキズパワーパッドでグールグル♫ にしてなかったことにしようとしました。

友人T 「そ、それキズパワーパッドでなんとかなるんすか?」
僕 「ちょい前にアゴぱっくり割れた時もこれで治したんだぜ(ドヤ顔)」
友人T 「MJSK(マジすか!?)」
僕「いや、キズパワーパッドまじすげぇから!」

 その夜、メチャクチャ痛いのを無視しながらビールを一口飲むと元気になった血液がグワングワン巡って思いっきり傷に響き、痛みが2倍くらいに。怪我したときに酒飲んじゃダメなことくらい百も承知なんですが、なんか今までこうやって乗り切って来たので今回もねじ伏せよう(精神的に怪我に勝つ感じ?)。でも今回の痛みレベルは明らかにケタ違い。弱気になってきた僕の目の前にあるのは、数十分程前の強気の僕が購入した500ml缶…。僕の前にそびえ立つ缶がサンシャイン60くらいの高さに見えてきました。グビグビ ズキズキ グビグビ ズキズキ。いや、これは限界だ! 僕はビールの神様に謝りながら寝ようとするも寝れず、ウダウダしながら朝を迎えました。

 朝になってキズパワーパッドグルグル巻きの指を見ながら「もしかしてキズパワーパッド強く巻きすぎでこんなに痛いのかな?」と嫁に言うと、「今すぐ病院に行きなさい」と言うので、僕は「ハイ」と答えました。病院って誰かに行けと言われないとなかなか行かない習性をソロソロ修正したい…。

 土曜日でもやっている近所の整形外科に行くと、先生がため息をついています。確かに目の前に蛍光灯で照らされているレントゲン写真はどう見ても様子がおかしい。「おおっと、顔が曇っている! どーした? マズイのか?」と僕の得意な「心の中ひとり実況中継」をしていると、先生から言われたのが「開放性骨折」。しかも親指の骨がバラバラに粉砕してて5分割くらいになっちゃってると。何がマズイかっていうと爪が剥がれて傷部分が中まで行っちゃってるから、無菌状態の骨とかに菌が入ると骨髄炎というかなり厄介なことに発展すると。そうなると指切断とかになっちゃうよって、えっっっっーーーー!?

 「ウチじゃどうにもできないので大きな病院に紹介状書くからスグにそっち行って下さい」と言うので僕は「ハイ」と答えました。

 近所の整形外科からもっと大きな病院に紹介状を書いてもらって「すぐ行け」と言われたものの、午後の診療は13時45分から…。あ、今日そーいえば歯医者の予約もしてたんだったわ。そっちはそっちで放っておいたら飯がまともに食えないという深刻な状態だったので、とりあえず今度は歯医者でグラグラの銀歯のレントゲンを撮ると、土台が思いっきりずれちゃって抜かないとダメですね、と。麻酔をして抜くと口の中血まみれ。「綿を咥えて30分くらい噛んでてくださいね。はいお疲れ様でしたー。あ、明日傷を見せにもう一度来てください」と歯抜けのままリリースされとりあえず帰宅。30分くらいで止まると言われた出血は1時間経過しても止まらず、抜いた歯の痛みは麻酔が切れて最高潮に達しているじゃないですか。

 心臓の動きのせいなのか、痛みは口内も指も同じ波長でズキーン、ズキーンとくる。「ああ! 僕は生きている」なんてことを考えていられるくらい心に余裕があればかっこいいのですが、こっちは必死。考えてることはひとつだけ(痛いっす、マジ痛いっす!)。

 開放性骨折でしかも粉砕ってことは、開放性粉砕骨折? しかも爪剥がれちゃってるってなんかこう、フリップバックテールでしかもスイッチ? みたいなことだよな? 超ハンマーメイクだな。とか痛みを忘れるために無駄な閃きをしながら、止まらない血をなんとかすべく丸めたティッシュを噛み締め、紹介状を書いてもらった病院に自転車で向かいました。

 整形外科の処置室に呼ばれカーテンを開けると、そこには男なのか女なのかよくわからない、性別を超越してしまった美川憲一みたいな先生が。喋ると声は男だけど喋り方はまるでマツコデラックス。いきなりオカマの先生に当たっちまった。先生は淡々と「開放性ね~、厄介。今日から入院してください。そしたら明後日には手術できるから」と言いました。そして「今日はよく洗います」と言いながらメチャクチャデカい注射器で左親指の周りに数ヵ所ブッス~ と麻酔を打ち出したのですが、これ人生で一番痛い注射でした。

 しかし今日から入院となるといろんな問題が出てきます。家に置いてきた子供たちはどうすれば? 月曜から仕事は? 子供たちに今晩作ると約束したタコスは? スマホの充電もあんまない。とっさに「今日はとりあえず帰って手術の日の朝に入院とかってできないですか?」と少し反抗してみると、手術の予定がビッシリ詰まった予定表と僕の顔を座った目で交互に見ながら「あのね…」と何か言おうとするのを遮って「いやっ、無理なら大丈夫す!」と僕。美川憲一とかマツコデラックスみたいな「死ぬこと以外かすり傷」的な考え持ってそうな人に口ごたえできない感じ分かるでしょ?

 考えを整理していると、とりあえずの処置が終わって「今日はよく洗って脱臼した爪を元に戻して縫合しときました」と言うのを聞いて「脱臼?」と聞き返すと、この世界では爪も外れたら脱臼って言うのよという感情を顔全面に表しながら面倒臭そうに「そう、ダッッッキュウ」……「ハイ」と僕は答えました。

 一応子供が家にいることとかを伝えると、先生は「外出は大丈夫だから必要なときに帰りなさい」と言ってくれ「私も子供いるからよくわかりますよ」って「 えぇぇぇぇーーーーッ!!?? おまえオカマじゃないの? 誰?」と思いながら一旦帰宅しビールを隠れて飲んでから(ダメゼッタイ!)病室に向かう途中、さっきの先生が雑誌に載った記事やテレビ出演した写真が廊下の壁に貼ってあるのを見つけました。●●院長……あいつ院長だったのか。

 病室で暇なので、初めてスマホでこのコラムを書いてみることにしました。意外とスマホでも長文書けるんだなとか思いながら、ふと院長の名前をググってみるとGoogleの口コミ…「星ひとつつけるのも勿体ないくらいのクソ病院です。治したいなら絶対ここに行っちゃダメ!」
 
今これを書いてますが、2時間くらいしたら手術です。行ってきます。

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