Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
DAISUKE MIYAJIMA

M×M×Mの敏腕スタッフにして自称映像作家のジマこと宮島大介。
伝家の宝刀Fs 180フリップをなくした今、どこへ向かっていけば
いいのか迷走中。本能の閃きをたよりに書き綴る出口なしコラム。

第25回:秘密のCOPA COURT

 その昔、スケートシューズ全盛期にはスケートシューズカンパニーがたくさんあり、僕がスケボーを始めた’90年代中頃には有名なのからマニアックなのまで無数にありました。その中で「スケートシューズではない靴をスケボー用に使うクールさ」という概念もあったかと思います。まだ大手のスポーツシューズカンパニーがスケート業界に身を乗り出す遥か前に、あのガイ・マリアーノやリック・ハワードなんかもConverseを履いていたりNikeのGTSという靴が密かに流行っていたりと、僕もそっち方向のクールさにズキュンで、当時adidasのCampusやSuperstarやStan Smithを履いていました。クールという理由の他に、ディスカウント量販店なんかにもあるので探せば安価で手に入るという大きな利点もあったのです。枠の外という認識だったそこらのブランドが今やしっかりとスケート業界に入ってきているというのは、当時の僕らからは想像もつかないことで、ひとえにスケートカルチャーが成熟した結果だと思います。

 そのadidasが主催するSkate Copa Courtという、ブランドの起源でもあるテニスのコートをモチーフにした特設パークでデモやコンテストのイベントを世界各地で行うツアーが今年は開催されていました。そのツアーファイナルが東京で10月に行われると。しかもそのイベントでMCをやるのが僕だというのでこれまたすごい。僕のMCのスキルに関しては以前書いたコラムを参照していただければわかる通り緊張症です。あれから約1年でいろんなイベントに呼んでいただき多少はスキルアップしたのですが、今回の会場は六本木ヒルズアリーナ。完全に大舞台…緊張します。海外ライダーの面子を見るとマーク・ゴンザレス、デーウォン・ソン、マーク・ジョンソン、デニス・ブセニッツその他大勢。こりゃイカん、大舞台の上に大物だらけ。オーマイガーです。

 当日の朝、約束の時間10時半に現場に行くとスタッフ大勢が特設されたパーク中央に集まって何やら話しています。そう、この日はあいにくの雨。一応屋根はあるものの霧雨が横から吹き込んで屋根はまったく意味をなしていません。担当者に聞くと、グローバルチームからはすでにNGが出ているという話。六本木ヒルスアリーナを1日貸し切って、この日のためにマーク・ゴンザレスがデザインした巨大なセクション(adidas側の資料ではオブスタクルと書かれていたので僕もかっこつけてオブスタクルと呼んじゃおう)、いや、オ、オブスタクルを設置して、人も呼んどいて「はい、雨でーす! 中止でーす!」ってなかなかキツイなと個人的に思っていたら、担当者が「25m × 50mくらいの室内のスペースを探していて、1件だけ昭島にあったのでちょっと今考えています」……。え、昭島? 東京のかなり西の辺鄙な場所です。六本木からは1時間以上はかかるでしょう。僕はたまたま地元が昭島の隣町だったので親近感しかないようなサウンドですが、多分ほとんどの人は「アキシマ? はぁい? どこ?」って感じでしょう。あまりに途方もない話な上にしばらく自分の入る隙はないと即判断した僕は、近くのコンビニでとりあえず朝のビールを…すいませんでした。

 しかし運営側の判断はかなり大変です。なんだかんだここ六本木でできたりするんじゃないの? という後ろ髪引っ張られる系。やりますって言っときながら何もできなかった時のガビーン系。場所を移動するって言ってもこれからプランBに移行する行動力や予算の面倒臭い系との三角関係の戦いを1時間ほど繰り広げた後、ついに出た答えは面倒臭い系の「昭島に移動して実行」でした。

 その判断だけでもすごいのですが、そこからがさらにすごいことになります。まず設置したオ、オ、オブスタクルをバラしてトラックに積み込め! SNSフライヤーを修正、移動先のインフォメーションや時間を入れて一刻も早く再投稿! すでに集まっているお客さんや、この日のために各ショップからベストトリックコンテストに選抜されたライダーたちはどーする? バスだ! 六本木から昭島まで大型バスをチャーターして民族大移動だ! 全員乗れない? 整理券配れ! あれよあれよと言う間にことは進みバス遠足のような状態で、僕も15時半には昭島の倉庫に着いちゃいました。スケートのイベントで当日に場所が変更になって開催されるというパターンは僕のまあまあ長いスケート人生の経験でも初めてのことでした。

 倉庫に着くと早くも、え~っと、あっ、オブスタクルの設営が始まっていて、昭島という超意外な現場という展開に反応したのか六本木だったら来なかったであろう僕の地元の方のスケーターも駆けつけていたことに結構アガったのですが、それよりも六本木の時点で「昭島か~どうしようかな…」とぼやいていた某フォルニアストリートの社長がすでにセクショ…いやいや、オブスタクルの設営をメッチャメチャ手伝っていたことにもなんかドラマを感じてアガリました。もともと倉庫にあった鉄骨のカラーとマーク・ゴンザレスデザインにアーティストのMHAKのペイントで仕上げたオブスタクルのカラーがまったく同じだったことや、雨のなか少しでも濡れないようにと狭い倉庫にギャンギャンに詰め込まれたお客さんのおかげで、adidasチームのデモが始まる頃には倉庫全体には妙な一体感が生まれていました。

 今回の僕の中のハイライトは昭島へ移るまでの裏方の頑張りと、イベントをやり遂げるadidasの強い信念と行動力と、まあ経済力。みんなで力を合わせて開始まで持っていったところですでにゴールのような気がしました。ここからの様子はもちろん後に出るであろう素晴らしい映像なんかでわかると思うので多くは書きませんが、ジャパンチームの動きが心に響きました。さらにそのあとの全員参加型のベストトリックコンテストのスーパーカオス具合も見ていて面白かったです。六本木でやっていたらどうなっていたんだろう? と何度か想像してみましたが、この倉庫での秘密のセッションみたいな雰囲気はこれはこれですごく良かったんじゃないかなと思いました。

 イベントの帰りは行きの時のようなシャトルバスはないと最初からアナウンスがあったので倉庫の最寄りのバス停からバスに乗って駅まで、というのがほとんどの人のコースだったのですが、僕が乗ったバスはその前からたまたま乗っていたアメリカ人であろう4人一組だけの状態からいきなりスケーターが死ぬほど乗ってきてバスはパンパンになっていました。そのアメリカ人の4人が何年たっても「いきなりスケーターハンパなくたくさん乗ってきたよね、あのバス停ってなんだったの結局?」って話すであろうことは間違いないでしょう。

 余談ですが、MCをしている時マイクを渡されるといつも脳裏をよぎることがひとつあります。昔、友達のアメリカ人がマイクを持つと必ずそれを股間に当てながら「オレのマイクだ」というギャグをやるんですが、MCをやっている最中もいつかどこかでそのギャグをかましてみたいという欲望を抑えています。今回もadidasチーム唯一の女性ライダーのノラ・ヴァスコンセロスに最後一言もらおうと思って近づいた時に「オレのマイクをどーぞ」と言いたいのを我慢しながら普通にマイクを差し出しました。デモの最中、終始フリップのバックサイドリップをトライし続け、惜しくもメイクはしなかったのですが「とても楽しかった」の一言が出ていろんな意味でホッとしました。

CAMPUS VULC X ALLTIMERS
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