Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
LAURENCE KEEFE

エンゲル係数高すぎスネークスタイルで、世界の秘境をスケボー片手に渡り歩くザ・トラベラー。合言葉は「旅の恥はかき捨て」。
ローレンス流、地球の歩き方。

第21回:全裸ジャパン

 社会の抑圧によって、自制する日々を送るのは決していいこととは言えない。なぜなら、この国の人たちはちょっと酔っ払った途端に超人ハルクさながらサラリーマンのコスチュームを脱ぎ捨て、上司に「クソ野郎!」と言い放つ衝動に駆られてしまうからだ。その頃には居酒屋の出口付近で半裸の状態で横たわり気絶寸前。しかも、若鶏の唐揚げと焼酎で生成された嘔吐にまみれ、そんな絶望的な姿は狂喜する学生たちによってセルフィ撮影される。さらにはインスタグラムを通して発信され、人気動画として世界中に晒される。ときに、このような光景を目の当たりにできるのは興味深いものだ。

 日本の文化は、外国人にとっては矛盾に満ちたものだと言えるかもしれない。そんなオレもこの国に住み始めて5年経つが、今でもまだ驚かされることがある。日本には多くの規則が存在し、人も極めて礼儀正しいにも関わらず、夜になるとワイルドに豹変してしまう人が多いようだ。

 例えば、飲みの席での全裸……。銭湯や温泉など同じ空間で裸の付き合いをする文化があるだけに西洋人よりも全裸になることに寛容なのかもしれないし、特定のスケーターが数杯のビールを飲むと全裸になって世界にカクテルソーセージを見せつけたい衝動に駆られることはもちろん知っている。しかし、いまだに不意をつかれて驚いてしまうことがある。

 というのも、先日このような出来事があったのだ。それはとある深夜1〜2時の渋谷。海外から遊びに来た友人を案内していたときのことだった。オレは雑居ビルの3階に適当なバーを見つけて入店した。すると、店内の全員が全裸で前後不覚になるまで泥酔している。文字通り全員である。店員と客の区別すらまったくつかない状態なのだが、喉が乾いていたこともあり、本格的な東京のナイトライフを満喫するために冷えたビールを頼むことにした。オレはバーカウンターで泥酔して寝ている全裸の男を起こし、ビールを2杯オーダーした。

 男はビールのサーバーに手こずりながらも、奇跡的に生ビールをサーブしてくれた。プラスチックカップに入っているのは20%のビールと80%の泡。そして、大きな笑顔で男はこう言った。「サービスでーす」。むしろ代金を払ってきちんとしたビールを飲みたい……オレはそんな表情をしていたのだろう。男はさらにウイスキーのボトルを手渡して好きに飲んでくれと言う。そして、ミキサーも使わずに10種類のリカーを混ぜ、これまでに味わったことのないような気色の悪いカクテルを作ってくれた。

 その空間は極めて不快。ドリンクは必要以上に粗末。音楽は耳をつんざくほどの大音量。しかし、オレは腰を下ろしてそのあり様を見守ることにした。全裸の乱人たちがレゲエサウンドに踊り狂い、スツールで眠りこけ、数時間後にはスーツに身をまとい会計事務所のようなお堅い会社に出勤する。このような光景を見ながら、オレは常軌を逸した素行が許されるこの街に住めていることのありがたさを再確認した。いつの日か、ここから遠く離れた何も起きない小さな田舎町に住むようなことがあっても、オレの心はこのような非現実的な思い出で満ち溢れている。日本よ、ありがとう!

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Nixon x C.R. Stecyk III
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