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 東京に住み始めてからもう2年。時が経つのは早いものだ……。まずは東京…
──第5回:ただちに東京から脱出せよ!

2013.03.12

 東京に住み始めてからもう2年。時が経つのは早いものだ……。まずは東京に到着したときの記憶を呼び戻したいと思う。完璧なタイミング、自然災害、原発事故、判断ミス、そして苦労して稼いだキャッシュの無駄使い。以上の事柄が織りなす暗黒の物語。

 日本への旅はバンコクのホテルの一室で激しい頭痛に襲われ、目を覚ますところから始まった。時間を確認すると、どうやら寝過ごしたようだ。スケッチーなぼったくりタクシーに乗り込み空港に向かうも飛行機に乗り遅れ、選択の余地なくクアラルンプールでの乗り継ぎ便に予約変更。そのため余分な費用がかさんでしまった。

 羽田空港に降り立ち、新宿行きのバスに乗り込む。真夜中近くに新宿に到着し、ふと自分がほとんど日本語を話せないこと、終電がすでにないこと、知り合いがひとりもいないこと、そしてどこに行けばいいか皆目見当がつかないことに気がついた。だが幸運にも、最初に目に飛び込んできたのが新宿西口のバンクでナイトセッションを楽しむスケーターたちの姿だった。ツイてる! スケートのコネクションはどこにいようが有効なのだ。彼らは街を案内してくれ、東京のシーンに迎え入れてくれた。そして彼ら……マロこと近藤貴麿と金子次郎とは今でも親しくさせてもらっている。

 東京ライフのスタートだ。家のペンキを塗ったり、雨に濡れながら鉄筋を運んだり、パン工場で小麦粉を詰めたりしながら貯めた僅かな財産が急激に減っていく。最善策はゲストハウスに転がり込み、できるだけ多くの仕事に応募することだった。すべてはトントン拍子に進み、わずか4日後に職をゲットすることができた。そして満面の笑みを浮かべながら帰宅すると、そこに待ち構えていたのは日本史上最大級の地震。

 人生初の地震だったため、何が起きているのかわからない。ましてやこれが常軌を逸した状態なのかどうかもわからない……。そのとき思ったのは、今後このような振動の中どうやって眠ればいいのか、毎日のように天井に吊るされた電球が割れ続ければどれほど金がかかるのか。そしていつもこんなに揺れるのならなぜ冷蔵庫が壁に固定されていないのか。しかしテレビをつけた瞬間、すべてを理解した。そしてもっとも危惧されるのが、差し迫る放射能の惨事。震災直後、住民はどこへ消えたのか、なぜ街灯が消えあたりが暗いのか、そんなことを考えること数日。がらがらのバーでひとり飲んでいても、余震が起きるたびに外へ逃げなければならない。そんな毎日に飽々し、ついにイギリス大使館に相談することにした。すると東京を離れ、大阪で数日を過ごすことを勧められた。結局、大阪ではこの世の終わりかと思うほど酒を喰らった。しかし東京では放射能問題、そしてサラリーマンとしての新たな生活が待っている。

 日本を離れようという考えが頭をよぎったのは事実だ(有名なイギリスの新聞に“ただちに東京から脱出しろ!”とのトップ記事が掲載された。実際に震災の中心地は東京ではなかったのだが)。しかし、ここに来るまでにかけた労力、そして職をゲットできたことを考えると、やはり不安に耐えて日本に残ることにした。そして震災以外に心配なことがひとつあった。それはミャンマー滞在中に腹部に突如あらわれた赤い湿疹。その当時、ミャンマーで友人がヒジを脱臼したため、地方の病院に担ぎ込み、オレは上半身裸で院内を歩いていた(オレのTシャツを使って腕を吊っていたのだ)。ちょうどいい機会だと思い、医者に腹部の湿疹について聞いてみた。するとふたつの言葉が返ってきた。「汚い・Tシャツ」。そして軟膏を処方してくれた。しかし東京に住み始めて数ヶ月経っても腹部の湿疹がなくならなかったため、女医に診てもらったところ、なんとこれは人類に起き得る最悪の病の可能性があると言うではないか。ファック。血液検査だ。クソ。オレは死んでしまうのか。腹部の皮膚が破裂し、エレファントマンみたいになっちまう。次第に正気を失い死んでしまうんだ。家族になんて言えばいいんだ?

 血液検査の結果が出るまで、気が遠くなるような長い時間が流れた。そして結果を手にした女医が放った言葉。「いやー、ゴメンね!そうね、これはたいしたことないわ。このステロイドクリームを塗ると1ヶ月でなくなるから」。その言葉通り、オレは毎日患部にクリームを塗りたくった。すると驚くことに、以前より10倍湿疹がひどくなったではないか。マジで皮膚が破裂しそうだ。痛いぜ! もしかしたら、オレは本当に人類に起き得る最悪の病に侵されたのかもしれない。はたまたこれは放射能の影響か? ファック! オレの精神はいつ崩壊するんだ? いつ死ぬんだ? 

 数回の通院を経てわかったこと。それは、オレの症状がまったく原因不明ということ。そして毎週のように様々な抗生物質の混合物やその他の薬を与えられ続けるも、症状は良くも悪くもならない。ただただ金だけが減っていく。

 この症状は半年から1年続いた。今となっては笑い話だが、間違いなく生涯最悪の年だった。プールでの肥満児のように、セックスをする際もTシャツを脱ぐことができない。でも最終的にすべては好転するものだ。オレは身を持って教訓を学んだ。

1. メディアを信じるな。ヤツらはウソつきだ。
2. 医者を信じるな。ヤツらは何もわかっちゃいない。
3. 何でも最後までやり通せ。
4. 楽しめ。いつイッちゃうかわからないんだから!

Laurence Keefe
@laurencekeefe

エンゲル係数高すぎスネークスタイルで、世界の秘境をスケボー片手に渡り歩くザ・トラベラー。合言葉は「旅の恥はかき捨て」。ローレンス流、地球の歩き方。

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