BUSENITZ’S HIPPIE JUMP

 トリックにはさまざまな魅せ方やヴァリエーションがあります。ベーシックに魅せる者もいれば、そこにフリップトリックを組み入れたり身体の回転を加えたり。表題のヒッピージャンプも然り。この極めてオールドスクールなトリックをネクストレベルに昇華させるスケーターが最近増えているような気がします。その中でも、ヒッピージャンプのあり得ない魅せ方で世界中のスケーターを魅了したのがデニス・ブセニッツ。
 昨年リリースされたadidas Skateboardingの初フルレングス『Away Days』で大トリを務めたデニスのパートに収録されたヒッピージャンプ。これは同作のデッドライン間際に敢行された九州ツアー中に鹿児島で撮影されたもの。自分もツアーに同行して目の当たりにしたのですが、このヒッピージャンプには絶句せざるを得ませんでした。
 ランダムに車を走らせていたときに偶然見つけたスポット。バンクの途中に伸びる電柱は邪魔以外の何ものでもない。デニス以外、誰もこの電柱をスポットと見なさないであろう代物。まずは軽い気持ちでヒッピージャンプをトライし始めるも、陽が落ちて暗くなってしまい断念。この段階ではまったくメイクできる気配はなし。デッキと身体がバラバラな状態。翌日、改めてトライしに行きたいとのデニスの言葉には、正直、おそらく時間を無駄にするだけだから次のスポットに行ったほうがいいと思っていました。
 ということで、翌日になり再トライ。前日と変わらず身体は電柱を越えるもののデッキに戻れる感触はゼロ。何度も何度もトライしながら、メイクに向けて検証を続ける。これまでにさまざまなトリックを見てきましたが、さすがにこれはメイクできないと思いながら見守っていました。「Defy gravity(重力に逆らう)」とはデニスがツアー中によく口にしていた言葉。ただ、重力とは縦に働くもので、横には働かない。まさに物理的に不可能な試み。しかし、こちらの懸念をよそに、軽くショービットすることで電柱をクリアしたデッキを足元に誘導する方法を探り出し、そこからは数トライであっさりメイク。完全に言葉を失い、感動すら覚えました。
 これは固定概念を完全に壊され、いかに自分が枠にとらわれた考え方をしているか思い知らされた瞬間でした。そして、デニスのあり得ないトライとメイクまでの取り組み方を見ながら、ある言葉が頭に浮かびました。adidasのスローガンのひとつでもある、”Impossible is Nothing(不可能などない)”。

–MK

 

 


デニスの最新モデル、The Busenitz Vulc RXのCM動画。例のヒッピージャンプも収録。

NIXON – BONES BRIGADE COLLECTION

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