JAPAN AIR

 スケートのトリック名には実にさまざまなものがありますが、その由来について考えたことはありますか? 命名の由来には、大きく分けて3つのタイプがあると思います。
 まず、見たままを形容したもの。たとえば、キックしてボードをフリップさせるから「キックフリップ」、ヒールでフリップさせるから「ヒールフリップ」など。ふたつ目は発明したスケーターの名前を冠したもの。スティーブ・キャバレロの「キャバレリアル」、マイク・マクギルの「マックツイスト」、マイク・スミスの「スミスグラインド」、ダレル・ミラーの「ミラーフリップ」など。そして最後に、何かしらのストーリーや内輪のジョークなどがきっかけになったもの。その代表的なトリックのひとつが「マニュアル」。これは’80年代にパット・ノーホーが頻繁にボウルから飛び出してウィーリーをし、そのままロールインしたことがきっかけで命名されたマニューバー。その様子を見たニール・ブレンダーとジョン・ルセロが、「ヤツは自力(※英語でマニュアル)でロールアウトして、自力でロールインしている」と言ったことで「マニュアル」と命名されたとのことです。
 と、簡単にトリック名の由来について振り返ってみたわけですが、先日、USのTWSにて興味深い記事を見つけました。それは、表題にもある「ジャパンエアー」の由来についてのもの。ご覧の通りジャパンという我々の国がトリック名に使用されているわけですが、その理由が判明したのです。実はTWSの1985年2月号に掲載された日本特集記事がその所以。その記事に、ボウルを飛び出しミュートグラブでツイークしている小さな写真が掲載されていたのですが、当時、そのエアーの形は誰も見たことがない斬新なものだったそうです。そして、同ページにあった大きな「JAPAN」という見出しがそのままトリック名に使用されたとのことです。ちなみに、そのミュートグラブを披露した肝心のスケーターとは、日本生まれの日系フランス人のフィリップ・メントーンという人らしく、その決定的瞬間を撮影したのは故・西岡“DEVIL”昌典。
 もしかしたら、両者とも自身がこのトリックの命名のきっかけを作った当本人だということをいまだに知らずにいるかもしれません。西岡氏は2014年に他界し、メントーン氏はかつて東京のフランス大使館で働いていたことはわかっているのですが、その後の足取りは不明とのこと。なにはともあれ、30年も前にここ日本でスケート史に残るストーリーが作られていたとは……なんともドラマチックです。

–MK

 

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TWS 1985年2月号に掲載されたフィリップ・メントーンによるミュートグラブ。これが後に「ジャパンエアー」と命名される。撮影は故・西岡“DEVIL”昌典。

 

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「ジャパンエアー」が初めて掲載されたTWS 1985年8月号。スケーターはトニー・ホーク。

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