SKATE OR DIE

 先日、11時間のフライトを経てヘロヘロになって成田空港に着くと、イミグレのところでThrasherバッグを抱えた男の後ろ姿が目に飛び込んできた。ボトムにはスケートデッキ装着というお約束のスタイル。しかもこの男、風貌からしてかなりの戦闘能力の高さが伺える。自前のスカウターの数値がマックスになりかけたところで男の顔を伺うと、Consolidatedの菊地祥太だった。たった今しがた、1ヵ月半の武者修行を終え、サンフランシスコから帰国したとのこと。偏頭痛+時差ボケのグロッキーなオレのヴァイブスがなぜか高まる。それもそのはず、Thrasherバッグにはそれなりの思い入れがある。
 遡ること20数年前。1991年に渡米する際に、同じように自分も成田空港でThrasherバッグを抱えていた。中学出てすぐのガキにとっては、Thrasherバッグを片手に海外へ出かけるなんて、とてつもなく大きな出来事だった。不安度指数は余裕で100%越え。でも同時に、Thrasherバッグを抱える自分を、少し誇らしげに感じていたことも確かだった。Thrasherバッグを抱えて目的地へ向かう。それがスケーターの称号というか、真のスケーターの仲間入りだと勝手に解釈していたからだ。
 そんな自分にウットリしていると、対角線上に同じくThrasherバッグを抱える男がいることに気づく。こちらはブラックのバッグで、あちらはグレー。で、できる…。このタイミングで一体彼は誰なんだ! と思って何気なく近づいていくと、NewTypeの創始者のルパンくんではありませんか!? 10代の頃って年齢が3、4つ上でも大先輩。特に親しくなかったけど顔見知りなので目が合った瞬間に会釈。ルパンくんも意外なところで自分を見かけて少し戸惑いながらも軽い会釈を返してくれた。何気ない小さなことかもしれないけど、自分にとっては何か大きな意味のあるように感じたことを覚えている。アメリカへ向かう。独りではあるけど、独りではないというか。そんな自分なりの小さなエピソードがあったので、20数年ぶりに偶然成田で見かけたもうひとつのThrasherバッグに、過剰反応してしまいました。ある意味、普遍的な美学。SKATE OR DIE。

–KE


注:本文と動画はなんら関係ありません。

Nixon x C.R. Stecyk III
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