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夜中の渋谷駅前ですったもんだの一部始終
──職務質問

2017.05.10

 いい感じに酔っ払い、自宅へ帰ろうと気持ち良く道玄坂を下る23時過ぎ。スマホ片手に渋谷109交差点前の信号待ちをしていると「こんばんは〜。いまお帰りですか?」と突然男に声を掛けられる。何かと思いスマホから目を上げると屈強な警察官がふたり、目の前に立っている。
 「もうすぐ終電なんで、これから家に帰るんですよ」と答えると「いまここらへんで物騒な事件とかいろいろ起こってるから、荷物を調べさせてもらってもいい?」と先方。出ました! 職務質問です。
 いままで特に奇抜な格好や反社会的行為などをすることもなく、平凡に暮らしているだけの武藤敬司(グレート・ムタじゃないよ)似のナイスミドルを自称する私ですが、何故か職務質問を頻繁に受けています。古くは新聞社に勤めていた頃、オ●ム真理教関連の裁判時に裁判所前で(信者と勘違いされてめちゃくちゃ目立ちました)だったり、DLさんとレコード屋巡りをしていたときや友人と街中を歩いているときなど、本人は至って普通にしているはずなのに、突然職質の対象になってしまうのがとにかく謎です。
 別に見られて困るものは持っていないんですが、外見で判断され荷物を調べられるのには腹が立つし、こんなくだらないことで終電を逃すのはたまったもんではないので「任意ですよね。お断りします」と彼らを振りほどき駅へと向かおうとする。がしかし彼らもプロ。ふたりがかりで自分の行く先を塞ぎなかなか帰してくれません。「持ち物見せてください」「イヤです」を繰り返すこと数分間。終電も迫っているのにラチがあかないので、ふたりの警官の横をすり抜け109からマークシティの方向へとダッシュ。ですが酔っぱらいのおっさんと現役警官の身体能力の差は歴然。あっという間に追いつかれ行く先を塞がれます。「なにくそ」と思い千鳥足で彼らの横をすり抜けようとするも、逃走を防ごうとするひとりのポリスと接触、地面に叩きつけられてしまいます。久しぶりに全身で味わう地面の冷たさと全身にじんわり広がる痛みに「酔っ払って家に帰るだけなのに、なんでこんな思いをしないといけないんだろう」と怒りが沸き起こってきました。やがて立ち上がるとポケットからスマホを取り出し、110番をプッシュ。電話先の担当者に「いま渋谷で警察官に職務質問をされたので、断って帰ろうとしたら突き飛ばされて転んで怪我しました」と連絡。しばらくして駆けつけた警察官ですが、彼らが発したのは「見られて困るものがないんだったら荷物を見せろ」です。「あれっ、110番に通報したらよりめんどくさい感じになってきた」。
 ここでも「終電がなくなるから早く帰して欲しい」「持ち物を見せろ」という問答が続くのですが、警察官のひとりが「終電がなくなったら家まで送っていくから荷物を見せろ」と言ったところで落としどころを発見。「オーケー、じゃあ自分の持ち物すべて見せるから、パトカーで家まで送っていってくれ」という内容で両者が合意。言い逃れできないようにスマホで映像を撮り、証言を抑えます(翌日チェックしたらうまく映ってませんでした…)。ここに至り「じゃあどうぞ」と背負っていたリュックを差し出すも「パトカーで送っていくことができるか上司の確認を取りたい」と先方が怯み、連絡を取りはじめました。ギュウギュウの電車じゃなくてパトカーで家まで送ってもらえるなんてラッキー! なんてワクワクしてると、返ってきた言葉は「もう帰っていい」。
 「全然荷物見てもいいんだよ。ほらっ」とバッグを広げアピールをするも、こうなると先方はまったく相手にしてくれません。「あれっ、さっきと逆の立場になっちゃった。なんだこれ!?」なんて感じで彼らとのセッションは終了。この辺の記憶は曖昧ですが、「●●さん、アナタ警察のこと嫌いでしょ?」っていう捨てゼリフは覚えてます。
 そして、日をまたいで帰宅した後の自分の奥さんの方が警察官より恐ろしかった…というのはここだけの話です。

--TM

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