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オープン時もクローズ時も問題だらけ(ウケる)だった宮下公園は、来る2020年に向けて大規模…
──MEETING SPOT

2017.03.31

 スマートフォンの画面をなぞってどこで誰が何してるとかどうしてるとかを知るのは苦手。流行の服にも音楽にも興味が持てないし、もうはっきり言っちゃうと向かいの焼き鳥屋に飲みに行く以外はどこへ行くのも億劫。そういう無気力で怠惰なアナログ中年にとっては、正直シブヤの街の喧騒はストレス以外の何者でもありませんでした。そりゃもっと若いころは楽しく深夜まで路上スケートto夜遊びも楽しめたけど、ここ最近は進んでシブヤの街に何かをしに行こうというエネルギーが完全に枯渇していました。しかし、そんな無気力な中年の情熱に火をつけ、その少し細くなった足を再びシブヤの街に目的を伴って向かわせた場所、それが他でもないかわいいあの娘が勤める明治通り沿いのファミマ、ではなく宮下公園でした。
 早いものでもう4年くらいかな、ほぼ毎週必ず一度は訪れていた宮下公園スケートパーク。決して優しくはないセクションばかりでしたが、それまで近隣に設置されていたスケートパークとの造りとは一線を画していて、何を選んでトライしても新鮮な感覚が味わえる素敵な設計でした。中でも大好きだったのが奥に鎮座していた変形ボウル。片側アール、片側バンクの側面をうまく使って加速し、プールコーピングの付いたボウル部分に突っ込んで行くのですが、ここで気持ち良く滑れるようになるまでにずいぶん時間がかかりました。もちろん技術的にはまだまだ初歩的なレベルですが、スケートを始めてから今まで、知識としては知っていたボウルでのスケートの楽しさを、まさかこの年になってシブヤの街のど真ん中で経験できるとは夢にも思っていませんでした。そしてこのボウルでスケートすることで得ることのできた貴重な体験がもうひとつ、それは自分の地元のスケートシーンを創成期から支えている大先輩と毎週最高のセッションを楽しめたことです。この大先輩は、現在のスケートシーンの礎を築いた先輩方がまだ制服でスケートショップに出入りしていた時代に、今年で創立40周年を迎えるそのスケートショップのスタッフとして彼らと向き合っていた経歴の持ち主であり、愛娘ふたりを立派に育て上げた今なお、プールコーピングへのスラッシュを渇望して止まない、それはそれはイケてる大先輩なのであります。
 そしてこんな最高のセッションに加え、年齢性別を問わない多くのスケーターたちのチャレンジを同じ空間で共有できたことの喜び、そしてパーク外のコンビ二前でこれまた多くのスケーターたちと缶ビール片手に共有できた他愛のない時間こそ、宮下公園スケートパークが僕たちスケーターのミーティングスポットとして存在し、与えてくれた最高の体験だったと思っています。
 こうしてオープン時もクローズ時も問題だらけ(ウケる)だった宮下公園は、来る2020年に向けて大規模な再開発に着手するようです。そこには新たなスケートパークも再度組み込まれる予定だそうですが、正直2020年にどこで何してるかなんて、きっと宮下公園で滑っていたスケーターの誰もが考えてもいないことでしょう。
 いい写真や映像が残せなかったとか、クローズまでにあのトライはメイクしたかったとか、名残惜しさは誰にでもあるでしょうが、僕は何ができたかよりも、宮下公園に通うことで得ることのできた貴重な経験をスマホの中ではなく、心の中に大切に取っておこうと思います。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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