温故知新

 もうずいぶん昔の話ですが、僕がスケートを始めた頃には、膝から腰の高さくらいのクォーターを使って空中へ飛び出す、いわゆるジャンプランプでのセッションがまだ勢いのある時代でした。しかし次第にその熱は冷め、その後はいわゆるフラットトリックやレッジトリックの難易度を詰めていくスケートが全盛期を迎えるのですが、この時代の流れとともにその存在感を薄くしていったもののひとつがいわゆる「グラブ」系のトリックでした。このグラブ、かなりさまざまなヴァリエーションがあり、自分もすべては把握できていないのですが、スタンダードなところだとフロントサイドグラブやバックサイドグラブ、ミュートグラブにテールグラブなどがあり、それぞれが身体の状態やボードの刺し具合、またはどのあたりを左右どちらの手で掴んでいるかでこれまた細かく呼び名が分かれていて、スケートを始めたての頃はこれらの名称をしっかりと把握してグラブ系のトリックを優雅に使いこなしているスケーターたちは憧れの的でした。
 そんなグラブ系トリックが支持を集めなくなった原因として考えられるのが、それを上手に理解し取り入れるアイデアが僕らスケーターの中で一時期煮詰まっていたということ。いわゆるストリートスケートにおいて、片足を付いたり手を使ったりすることがあまりクールじゃないという時代を迎えたことで、レッジやフラットトリックの緻密さや精度はその極みを見たように思えますが、その反面、本来スケートが見失ってはいけない美学である「何をやってもいい」という自由な雰囲気が少し萎縮してしまった時代でもあったように感じられます。このような、流行に重きを置く流れは結果的にスケーター同士の分断を招くことがあることを身をもって知ったわけですが、それでも我構わずと信念を貫き続ける世代と、つねに新鮮な発想をスケートに持ち込む新しい世代がスケートを通じて交わることで素晴らしい化学反応が起こり、結果ビーンプラントからハンドレールでブラントスライドなんていう素晴らしすぎるトリックが生まれたりするのだから、どうやら僕らの未来は明るいです。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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