言わずもがな一流のベースボールプレイヤーには駐車場より球場が似合います。同じく素晴しいフットボールプレイヤーにはサッカーコートがよく似合います。少なくとも駐車場が似合うってのはまずありえないでしょうし、もし駐車場がよく似合うプレイヤーだと言われても、それを嬉しいと感じる人はまずいないでしょう。むしろ「こいつ、バカにしてんのか?」くらいに思われても仕方ありません。それもそのはず、仮に彼らがその美しいプレーを駐車場で披露している姿を想像しても、いまいちしっくりこないどころか逆に滑稽です。そして団体競技に限らず、例えば新体操や武術系の演舞など、ひとつの空間で個人がその美しさを披露する競技種目でもやはり駐車場では大抵の場合、それは様にならないのであります。
そして僕らが愛してやまない活動であるスケートボーディングも、美しい佇まいのスケートパークや完璧なロケーションのランプやボウルに想像力を掻き立てられる都市空間などなど、実に画になるシチュエーションがたくさんあるのですが、こと駐車場に関しては……。これがまた実に画になるんです! つまりスケートボーダーに関して言えば、彼らに駐車場はよく似合うのであります。
みなさんはすでにご存知のことですが、駐車場にはスケートボードにとって魅力的な要素が多数存在します。例えばタイヤ止めのカーブはスラッピーなんかに最適であり、それと同じ高さで広がる歩行者レーンは大抵の場合、マニュアルトリックにうってつけの高さと幅を持ち合わせています。また立体駐車場であれば上から下までラウンドしながら下ることも可能だし、その途中に存在する障害物さえも、想像力とスキル(あれば)を駆使すれば、それはスケートボーディングにとってイケてる要素に早変わりです。そして何よりもフラットが極上。ソフトウィールじゃなきゃ攻められない駐車場なんて僕は見たことがありません。おまけに屋外じゃなければ基本屋根付きなので、考えようによっては駐車場は全天候型の最強スケートスポットなのであります。
外はあいにくの空模様ということもあり、ここまで駐車場の魅力について力説しましたが、確か駐車場は基本スケートNGのはず……。なので良い子は真似しない、もしくはここで情報をゲットして滑りに来たとか言わない方向でひとつヨロシク。
─Takayuki Hagiwara(FatBros)