Nike SB dojo | スケートパーク

 だんだん暖かくなりTee 1枚で滑るのが気持ちいい季節になってきた。…
──第8回 : 幸せの黄色いウィール

2012.04.25

 だんだん暖かくなりTee 1枚で滑るのが気持ちいい季節になってきた。
 Teeというアイテムは、とてもやれるヤツだ。汗を吸収するという機能性もあるが「今日はどのTeeで滑りに行こうかなっ?」と考えるだけでも楽しくなるアイテム。

 古着屋でTeeを探している時にありがちなのが、「かっこいいプリント!」と思って手に取ってみると、袖がぶった切られて細いタンクトップみたいになってたり、丈がやたら短かったり、勢いづいたメッセージ書かれていたりと、前の持ち主の個性を押し付けられている気になる時がある。とくにバンドTeeにはそのパターンが多い。
 「タンクトップになっていないし状態がいい!」と思ったものは、大概サイズがLやらXLというオチで、Sサイズのわたしには大きいのだ。

 そんな高い競争率の中、デザイン&状態がバッチリな“勝ち残りTee"を連れて帰ったのに、着てみると攻めの臭いを放ってくる場合があったりする。前の持ち主の強い個性を感じる。

 それと似たような類だと“汗だくのTeeをリュックサックに入れたのを忘れてしまっていた”というものもある。あの臭いを言葉で表すのが難しいが、激しい自己主張がある。これもまた自分の中の気がつかなかった個性だ。

 まぁそれはさておき、それら臭いが強烈なTeeには「お酢」という液体がよく効く。

 その用法は、まずはビニール袋にお湯をいれる。そこへ個性を放ったTeeを投入。ここに大量のお酢を入れ放置したのちに、洗濯機で洗濯。わたしは、この用法で大概のツワモノたちの個性を退治してきたことから、お酢の力を信じている。

 するとだんだん「お酢の力でお金がピカピカになる」とか「お酢を食べると疲れがとれる」とかいうお酢情報に敏感になりはじめ、“お酢の用法や効果”についてアンテナを張るようになっていた。

 そんなある日、「ウィールをお酢につければ、化学反応によって黄ばみが取れて新品時の白さに戻るのでは?」っというアイデアが浮かんできた。

 もしこれが成功すれば「ブッシュを煮ると軟らかくなる」という、一部スケーターで受け継がれている裏技と並ぶことができるぞっと、思うと俄然やる気がでてきた。

 思い立ったら即行動! その夜、作業へ取り掛かることに決めた。

 ビニール袋に使い古した黄ばんだウィールと、いつもより張り切って多めのお酢を投下した。ひとり暮らしの小さなワンルームにお酢の匂いが充満したが、お酢の力を信じ一晩漬け込むことに。
 充満するスッパイ臭いと比例するように、成功の手ごたえを感じた。真っ白なウィールを目に浮かべながら、その日はそのまま就寝することにした。

 翌日の朝、わたしはウィールのもとへ駆けつけた。まるでシーモンキーの成長を見守りながら起きた早朝と同じ気持ちだ。

 ワクワクする気持ちの高鳴りを感じながら駆け寄ると、そこには慣れ親しんだウィールたちが出迎えてくれた。
 そう、いつもと変わらない黄色を纏ったウィールたちだ。

 ウィールをお酢につけても黄ばみはビクともしなかったが、変化があったことといえば、ビニールから漏れ出したお酢が床一面に広がり、部屋中がお酢臭に包まれたことぐらいだった。

--Satomix

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