Nike SB dojo | スケートパーク

 私は住宅関連の編集部で働いているが、住居というものは、本当にさまざま…
──第12回 : 旅の宿 Vol. 1

2012.07.13

 私は住宅関連の編集部で働いているが、住居というものは、本当にさまざまな形があるものだ。

 私の知人には、冬は山小屋、夏は海の家で住み込みをして過ごしている子もいるし、特定の家を持たずに友達の家を渡り歩いているというヤドカリのような子もいる。

『みなさん、ツアーの時はどんな場所で一日の終わりを迎えますか?』

 ビジネスホテルなら、快適な室温を約束され、なおかつ朝食のビュッフェのパンが意外と美味い。
 布団を敷き詰めると快適な床になるが、真夏の暑さの限界に悩まされる車内泊。
 真夏は車内よりも快適だが、冬は肩を寄せ合う寒さのテント泊。

 長期の休みを利用して、5名で山形に行った時だった。
 私たちは、1泊 ¥2,500という格安なログハウスで、コンクリートで打ちのめされた体を癒す終わり方に決めた。山道をグングン上がっていった森の中に、ポツンっと建てられている。なので酔っぱらって騒ぎまくっても全然平気なのだ。まだ見ぬ夜の宴に心躍る♪
 さくらんぼ農家の人が趣味で建てたというそのログハウスは、趣味の範囲を超えている立派さだった。2階建てで、3部屋にリビングもあるその一棟は、まるで秘密基地のように輝いていた。

 だがその時の私たちは、これから起きる恐怖を知る由もなかった。

 ソレを感じたのは、鍋を囲みながら「今日のアレは良かった!」とか「明日はここを攻めよう!」とか「あの人があれをやったらしい」とか、お酒で気持ち良くなっているときのことだった。天井から“ポトリッポトリッ”と緑色に輝いた何かが落ちてきた。よく見ると光り輝く“カメムシ”だ!

 数匹どころではない。木目の節でカモフラージュされるように、ワシャワシャと大量のカメムシがいるではないか。1匹だとなんてことないものでも、大量にいると恐怖すら感じる。ヤツらが、リビングだけにはびこっているっていると思っていた考えは甘く、2階の部屋も気がつけば大量のカメムシに襲われていた。もはや私たちの寝床にカメムシが入り込んでいるのか、カメムシの中に私たちがお邪魔しているのか分からない。いや、恐らく後者なのだろう。

 こうなったら団らんどころではない。カメムシを追い払うことが先だ。気が付くと、それぞれの手には武器をもっていた。
 我ら“カメムシバスターズ”は各々のアイテムでカメムシを外に出す作戦をとった。
 ヤツらをハタキで振り落す人。天井から落ちてきたヤツらをホウキで外へ出す人。掃除機で根こそぎ吸っていく人。虫が嫌いで逃げ惑う私。

 ヤツらを外に出しても、次々に湧いてくるヤツらから、自分たちの快適な空間を確保することに必死になる。
 湧いては出し、湧いては出し、そんな戦いが繰り広げられて山形の夜が更けていく。

 結局、あまりの量の凄さに、2階の部屋で過ごすことはあきらめることに決めた。
 広くて快適なはずのログハウス生活は、こじんまりと肩を寄せ合うようにひとつのリビングで就寝することとなった。

 翌朝、カメムシに別れを告げパークへの解放感に心を向けるが、「今夜もまたこの場所に帰ってくるのかぁ」と重い気持ちを忘れることはできない。しかし私たちには作戦があったのである。

続く…

--Satomix

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