Nike SB dojo | スケートパーク

前回のつづき…  カメムシに悩まされた我々はある作戦をとった。2階の電…
──第15回 : 旅の宿 Vol. 2

2012.09.11

前回のつづき…

 カメムシに悩まされた我々はある作戦をとった。2階の電気をつけっぱなしにして、すべてのカメムシを2階に集中させるという“おとり作戦”である。明るいところに集まる虫の習性を利用した逆転の発想だ。この作戦により、1階を快適なスペースとして確保することができる。そんな快適な秘密基地を想像して心が躍る。

 クタクタになるまで滑り倒した帰り道。しかし基地に向かう我々の足取りは軽かった。暗闇のなかに、灯台のように明かりを放った基地が見えてきた。するとその灯台にすさまじい数の虫たちがおびき寄せられているではないか…森中の虫たちを起こしてしまったようで灯台の周りはお祭り騒ぎになっている。その光景にぞっとしながら小走りで基地の中に入る。

 はたしてどこから虫が湧いてきたのか、基地の中には昨日よりも増したカメムシの数に覆われていた。
 「ポトリッ」。虫が嫌いな私の肩でブローチのように輝くカメムシ。小学生の時、親戚のおばちゃんが「お土産に買ってきたわよ!」とトンボのブローチを強要されたのが頭をよぎる。どこにつけていいのかも分からず、机の奥底にしまいっぱなしだったなぁ…。なぜおばちゃんたちはトンボやらの昆虫ブローチをしているのだろうか? 私も歳をとると、昆虫類のブローチが欲しくなる時がくるのだろうか。キラキラと宝石みたいな石でできたブローチを「あらっ、いいじゃなぁ~い」と褒め合う会話に、何度か遭遇してきた。道の駅やお土産屋さんには、なぜ昆虫ブローチが売っているのだろうか? こうなったら、ログハウスでカメムシのブローチを売ってはどうだろうか。もしかしたら、昆虫ブローチ好きにはたまらないかも知れない。

 カメムシの洗礼を受けた数日間。その後、壁のシミなどを見る度に「カメ虫!!!」と反応する反射神経の良さに悩まされることとなる。それはまるで、ガラガラという音に「おっ、スケーター?」と素早く振り返ると、宅急便の台車だったっていう反射神経の良さと同じだ。

 結局我々はカメムシと一緒にツアーの1日を終えることとなった。

 カメムシに悩まされた翌日、Kさんとパークで合流した。昨夜、彼はどんなところで終わりをむかえたのか気になった。きっと「テントを張って一晩過ごしたのかなぁ~」なんて思いながら問いかけてみた。次の瞬間、私の思い込みがとても浅はかだったと考えさせられる。
 テントという形ではなく「土管」といった新しい手法をとっていた。これまで生きてきた中で「土管」というワードを口にしたことは、きっと数える程だろう。平成の日本になぜ土管が? ということに興味を持ち、話しに吸い込まれていく。
 すると、どうやら公園の一部に設置されている滑り台のようになっている土管らしい。もしも、遊んでいる子供が上から滑ってきたら、理科の実験の“空気てっぽう”のようにKさんは押し出されてくることだろう。ツアーから帰宅したKさんは、謎の高熱に見舞われ、激やせダイエットに成功した。これは土管の洗礼なのだろうか。

--Satomix

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