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 私は人見知りだ。会って数回では、なかなか本来の自分を出せないタイプで…
──第5回 : 色黒な転校生

2012.03.12

 私は人見知りだ。会って数回では、なかなか本来の自分を出せないタイプである。その為か、挨拶の際に笑顔を出すのが難しい。そうこうしていたら「チヒロックは怖い」と言われるようになった。いつも眉間にシワを寄せて、まるで怒っているようだと…。

 小学校3年生の時に、一度だけ転校を経験した。

 転校生ってだけで、天然記念物のように大事に扱われ、チヤホヤされる。ほんの一時的のことだが。

 人見知りだったが、クラスに馴染むのに時間はかからなかった。学級委員をしていたしっかり者の女の子が、私の面倒をみてくれたからだ。もう何年も彼女に会っていないが、今でも感謝している。

 転校して数日後、父兄参加のクラス対抗ドッジボール大会が開催された。そのころの私は、ショートカットで色黒、今とは別人のようにガリガリ。ヒラヒラレース付きのパンツなんて絶対に穿かないボーイッシュな女子だった。私のドッジボールの作戦は、とにかくコートの中を逃げまくる。ボールを取るのが下手だったが、逃げ足だけは速かった。だいたい最後まで逃げ残り、外野が敵を倒してくれるパターン。クラスのみんなは「転校生なかなかやるじゃん!」と思ったに違いない。その日の私は特別、得意になっていたのだろう。

 お昼の休憩時間にひとりでトイレへ行った。帰り際に、校庭の隅にある遊具で遊んでいるクラスメイトの男子ふたりに会った。転校したばかりだったが、彼らがクラスの問題児だとすでに知っていた。いたずらっ子でいじめっ子。名前だって未だに忘れない。
 彼らが突然私を囲い挑んで来た。
 「おい、転校生! お前はコレをどんだけ飛べんだよ」
 コレとは、ウンテイという遊具のことだが、その遊具の真ん中辺りに猿のようにぶら下がり、身体を振り子にしてできるだけ遠くに飛んで見せろ、てことなのだ。彼らの挑発に、負けず嫌いの私がムキになった。子供の頃の体力は、男女比が大人より少ない気がするのだが、当時の私も問題児たちには負ける気がしなかった。

 2本ある鉄棒の片方にぶら下がった。そして思いっきり身体を振り子にした。とりゃーーっと飛んだ瞬間、ゴンッとものすごい音と激しい痛みに襲われ、私はその場に倒れこんだ。おっちょこちょいな私は、奥に棒があるにもかかわらず、そこへ頭をぶつけてしまうなど考えもしなかった。とにかく勝負に勝つことしか頭になかったのだ。
 白い体操服が真っ赤に染まった。眉間をパックリやってしまったようだが、意識がもうろうとしてあまり覚えていない。問題児たちが先生や母を呼んでくれたようで、ドッジボール大会を棄権し、父兄役員さんの車で病院へ搬送された。私はドッジボール大会で最後まで英雄になれなくて悲しかった。

 結局、眉間を7針縫う羽目になり、転校早々で一躍有名になった。ドッジボール大会で「おでこから血を流して病院送りになった子」と。

 そして、例の問題児たちは先生からこっぴどく叱られた。なんなら「あんたたちのせいで内田が怪我した」くらいの勢いだった。彼らが挑発したのは間違いないが、怪我は自業自得。

 その眉間の傷跡は未だに残っている。その傷が原因で、眉間にはつねに縦のラインが入っている。

 だから「ほら! 眉間にシワを寄せているのではなく、あれは傷跡なんだよ」と、人見知りで強面なイメージの言い訳をしてみるのもありだろうか。-Chihirock

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