私の血液型はA型だ。世間一般のA型イメージは几帳面、神経質だろうか。血液型を気にするのは日本人だけなのかもしれない。そんなどうでもいいことを考えるあたりもA型らしいだろうか。昔の私は今よりも神経質で、些細なことで悩んだりして若白髪ができた。それでまた悩んだらさらに若白髪が増えちゃうタイプだった。
例えば「自分で決めた計画は100%進行できなければ意味がない」と思っていた。せっかく計画したのにその計画が誰かの一声で方向転換してしまうならば、その誰かは一気に私の敵となるのだ。そして、何としてでも計画通りことを運ぶためだけに専念し、趣旨などどうでも良くなってしまう。完全に自分勝手の代表であった。
あるいは誰かと待ち合わせをするなら10分前、15分前行動が当たり前。私が15分前に着いたら、相手は約束の10分後に現れる。その時点で30分近く待つことになるのだが、遅刻して相手を待たせ大急ぎで焦りながら参上し平謝りするくらいなら、何分でも待っている方が私の心にとってはよっぽどマシなのだ。思えば人生で最大3時間マックで待った記憶がある。よくもまぁボケーっと待っていられたものだ。
しかしスケーターはどうだろう。何かを決める時の感覚は独特だ。今までの人生で経験のないもどかしい感覚だ。スケート後にスポットで井戸端会議が始まることがある。クタクタでお腹が減っているのにご飯に行くのか、行かないのか。スポットを離れずお喋りしているのは誰かを待っているのか…全然違う。ただウダウダしているだけなのだ。なかなか決まらない。いや、決める人がいないのだ。いや、むしろどうでもいいのである。「適当でいいっしょ。食いたきゃ勝手にどうぞ」てな具合だろうか。
そしてスケーターに時間ピッタリを求めてはダメなのだ。とくにパークで待ち合わせたら10分前とか15分前行動なんてまったく必要ないのである。待っても来ない友人などにイラっとしてはダメなんだ。電話してみたら「二度寝して今起きた。これから準備するから2時間くらい待ってて」とか「お昼食べてないから、食べてから行くよ」とか「板換えたいからスケートショップ寄ってから行くね」とかそんなのばかりなのだから。昔の私なら「できない約束はしないで!」と言いたいところだ。でも今の私なら「あなたが来るまでメチャクチャ楽しく滑ってたわよ!」くらい言えるようになった。
神経質だった昔の私では考えられない柔軟性が養われた。もちろん一部のスケーターに限ったことで、半分くらいのスケーターはきっちりしていて、社会人としてやスケーターを知らない人に対しては別だと理解している。
「どうせスケーターだから」と言われることがずっと大嫌いだったけど、結局私もみんなもスケーターなのだ。だからいい意味で期待しちゃいけないし、期待されては困るのだ。
むしろ私はスケーターたちに感謝しよう!
人間は変われるのだ。この私も、ドンと構えて余裕で待てる人間になったのだ。今じゃ「適当でいいでしょ、ノリで決めよう」そんなフレーズが大好きだ。
–Chihirock
Chihirock & Satomix
日本のスケートシーン拡大のため立ち上がった現代のジャンヌ・ダルク。全国に点在するガールスケーターを繋げるハブ的存在ColorfulProjectを運営するなど、現在精力的に活動中。Vivaナデシコスケーターズ♥♥