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 コラムが滞ってしまって申し訳ない。ここ最近は、缶ビールの応募シール集…
──第20回:やらかした話

2016.07.26

 コラムが滞ってしまって申し訳ない。ここ最近は、缶ビールの応募シール集め、ストリートサッカーなる新たなスポーツの開発、そして“ローレンス”と題されたエロ漫画の写メ撮影など、数々の趣味に没頭してしまっていた。

 最後にコラムを書いてから時間が経ち過ぎているので、前置きなしにオレの“やらかした話”を心の奥底の闇の中から掘り起こしてシェアしたいと思う。すぐさま頭に浮かんだのは、昨年訪れたポルトガルでのストーリー。

 ポルトガル滞在の主な目的は、5日間でSurgeという現地のスケートメディア用のインタビューとショートクリップの撮影。ポルトガルはこれまでに一度訪れたことがあり、スケーターにとって楽園のような場所であることを知っていたため、Surgeからのオファーを快諾した。自然のウェーブスポット、現地の親切な人たち、安いビール、チンコの形をしたパン、そして“フランスの少女”と呼ばれる現地の名物料理。これはステーキ、ベーコン、ソーセージ、ハムを挟みチーズに覆われた3段の特大サンドイッチで、上に目玉焼きが乗っている。しかもフライドポテトが満載でグレイビーソースをバケツでぶっかけたような代物。男にとって、これ以上の喜びはないだろう。

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 宿泊先となったのは、取材のオファーをしてくれた男の自宅。場所はアラマダというリスボンから車で45分離れた郊外の街で、奥さんと小さな赤ちゃんとともに住んでいる。滞在中はスケートミッションの毎日だったため、ある夜、男はオレをリスボンの街に連れ出して軽くパーティをしたいと言ってくれた。そうして、ふたりで車を走らせてリスボンへと向かい、バーからバーへはしごをしてポルトガルから酒が無くなるほど呑み続けた。ハシゴ酒の最終地は男の知り合いのバー。オレたちはノンストップでP. Diddyのラップをカラオケで歌い続け、マスターはその歌声に嫌気が差してオレたちを丁寧にキックアウトするまでショットを注ぎ続けてくれた。

「オレたちはどこにも行かねぇ♪ オレたちを止めることなんてできねぇ♪ なぜならオレたちは一生バッドボーイだからさ♪ ……とかなんとかかんとか」

 最後のバーをキックアウトされる瞬間、どうやって宿に戻ろうかという心配が頭をよぎった。時間はすでに午前3時。電車もバスも走っていない。男が安全に自宅まで車を運転できる状態にないことは明白。バーの外に出ると同時に、オレはタクシーを呼び止め、男を先に乗せて運転手にポルトガル語で行き先の住所を言わせた。すると驚くことに、タクシーはすぐ角を曲がったところにある、男が車を停めた駐車場でオレたちを下ろすではないか。しかも、最悪なことに、男は腹に溜まったフランスの少女、チンコ型パン、そしてさまざまな種類の酒を壁めがけて吐きまくっている。男が腕を伸ばして車の鍵をオレに手渡したときに嫌な予感がしたが、男が運転するよりもオレがハンドルを握ったほうが生きて帰宅することができる確率が高いということは酒で頭がイカれた状態でも判断できた。

 オレは車の免許を持っているが10年ほど運転しておらず、いくら金を積まれてもキックフリップすらメイクできないという泥酔状態。ということは、オレの運転は完全にヤバいということだ。しかも、宿の場所すらわからず、男は助手席で30秒ごとに気絶するため、「おい! おい! どっちだ!」と叫び続けなければならない。男は「あああ……まっすぐだ。とりあえず……まっすぐ」と目を開けることなくうめくだけ。自分の脳も身体も正常に機能していない状態であることはオレ自身わかっている。車を何度か壁にこすり、走り始めてすぐの早い段階でハンドルを握ったことを後悔した。最大の奇跡は、金曜の夜に警察であふれた市街地をバンパカーのようにふらふらと運転して橋の料金所を通過したにも関わらず、一度も止められなかったということ。もしも捕まっていたらすぐに拘束されて免許証も没収されていただろう。

 翌朝、男の自宅のベッドで、後悔の念と命への感謝が入り混じった状態で目を覚ましたオレは、このような醜態を二度と晒すまいと心に決めた。オレは今でも変わらず一生バッドボーイだ。しかし、まだまだ死にたくないと思う今日この頃だ。

 


Surgeより公開されたローレンスのインタビューとショートクリップ。

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