そんなアメリカ帰りのボスからとても感慨深い土産話を聞きましたので、今回みなさんにもおすそ分けです。
ここ最近よくビデオに出てくるスポットで、以前からちょっと気になっていたところがありました。サンフランシスコのどこかであることはわかっていたのですが、その立ち位置というかスポットとしての分類が謎な場所で、そこは広い公園の入口のようで、駐車スペースのようにも見える場所。そんな広々とした空間に不釣合いの極上の大理石ベンチが絶妙な配置で鎮座しているので、「スケートのために用意されたのか?」と思ってしまうほど完璧なシチュエーション。最近の映像だとTWSの『The Cinematographer Project』でのダン・ウルフの作品の中でデニス・ブゼニッツがハイスピードなラインで攻めまくり、最終的にFsブラントスライドのFs180アウトという仰天トリックを披露している大理石ベンチ。もっと最近だとFTCがサポートし、SFの今を支える若手スケーターが多数登場する『SF STATE OF MIND』という作品中でかなり頻繁に登場する大理石ベンチ。
どうやらこのスポット、パークというわけではないらしいものの、スケートするのが認められているところなんだそう。しかもこの大理石ベンチは以前、SFの街の中心を走るMarket Streetという大通りの歩道に設置されていたものをここに持ち込んだものなのだというではありませんか。
なんて素晴らしい活用術! マーケットストリートの歩道にあるときから、数え切れないほど多くのスケーターたちが警察の目を盗んではコツコツ攻めてきた街の欠片を、スケートのために再利用させてくれるなんて、なんて粋な計らいでしょう。こんなこと日本では聞いたことがないし、こんな前例は他のどこにもないでしょう。
EMBはなくなり、UNION SQUAREはその姿を変え、PIER 7が廃れても、街のスケーターたちの情熱は冷めることなく、その一途な姿勢が行政の柔軟な対応を引き出したというこの事実(もちろん業界団体などの陳情など、水面下の努力も含め)は、街を愛する同じスケーターとして見習いたいものです。
そんなことで今回、マーケット通りにあった頃の姿を改めて脳裏に焼き付けたいと思います。しばしお付き合い下さい。
--TH (Fat Bros)