ADIDAS SKATEBOARDING

LOUIS VUITTONでDCを、DCでLOUIS VUITTONをサンプリング
──第3回:ルシアン・クラークのシューズ遍歴

2026.01.21

 Thrasher 2020年10月号の発売により、スケート業界はとある話題で持ちきりになりました。同誌に掲載されたLouis Vuittonの広告に、Palaceのライダーであるルシアン・クラークが登場し、さらにシグネチャーシューズが発売されることになったから。

 

 ハイブランドからまさかスケートシューズが発売されるだけではなく、プロスケーターのシグネチャーシューズが出るなんて、想定外も想定外。

 

 しかし話題の理由はそれだけではない。そのシューズのデザインが2000年前後のDCをサンプリングしているのは明らかだったから。世界のDCコレクターたちが過去のアーカイブを調べ、SpectreというモデルのアッパーにLegacyのソールを合体させたようなデザインだと突き止めたのです。

 

 まさかLouis Vuittonのような天下のハイブランドがコアなスケートブランドからデザインをサンプリングする時代になるとは誰が想像しただろうか。
 そしてさらに、話題の最大の論点となったのはその価格。Nine Clubでもその話題になり、「スケシューとはいえLouis Vuittonなら3、400ドルくらいなのでは…いや150ドルくらいで買えるはず」というような内容で盛り上がっていました。

 

 またその配信のコメント欄には「他のLouis Vuittonのスニーカーと同じく1,000ドル以上になるはずだ」などさまざまな予想がされていました。
 Thrasherに広告が出たこと、デザイナーはストリート文化をよく理解しているヴァージル・アブローであること、ルシアン・クラークというプロスケーターのシグネチャーシューズであること…などを考慮すると、スケシューとして履ける値段を期待した人が多かった印象でした。
 しかし、蓋を開ければ何のことはない普段通りの1,190ドル。日本では税抜きで133,000円だったため「ちょっと期待させておいて結局全然買えないヤツだ」と少し冷めた空気になった感は否めませんでした。
 なぜターゲットではないスケーターに向けて広告を打ったのかは未だに疑問ですが、ある意味話題にはなったので、広告としては成功だったのかもしれません。

 そんな話題も忘れかけた2022年にまた驚きのニュースが飛び込んできました。なんとルシアン・クラークがDCに電撃移籍したのです。しかも今度は仕返しとばかりに、DCがLouis Vuittonの広告をサンプリングした広告をThrasherに掲載するというカウンターを決めたのです。

 

 さらに実はこの後、DCはもうひとつ別のカウンターを決めていました。それは2023年8月に発売したDCとNeedlesのコラボでリリースされたSpectreというシューズです。

 

 そう、このSpectreというモデルは、先ほど説明したLouis Vuittonのシューズのサンプリング元になっているモデルなのです。それだけではなく、このコラボで発売されたSpectreはオリジナルのソールではなく、Clockerというモデルのソールを取り入れています。

 

 ソールがClockerなため気付きにくいのですが、実はこのモデルには未発売のサンプルが存在しており、そのサンプルを見ると分かりやすい。そのサンプルはSpectreのアッパーにLegacyのソールを合体させたモデルなのです。

 

 まさにLouis Vuittonのサンプリング元と噂になっていた組み合わせをこのコラボで実現させようとしていました。実際発売された製品のソールはClockerのものですが、確かに仕上がりのシルエットは発売されたモデルの方がよりLouis Vuittonのシューズに近い印象。いろいろサンプルで検証した結果、Clockerのソールに決めたのだと思われます。
 ちなみに、このSpectre × Clocker(ヒールにSyntaxのパーツも付属)のモデルは2年ほど音沙汰がなかったのですが、2025年に海外限定で通常モデルとしてカラーウェイが発売されています。

 

 Needlesコラボの後、2024年にはついにDCからルシアン・クラークのシグネチャーモデルが発売されました。

 

 Louis Vuittonのシグネチャーシューズは値段が高くて一般的なスケーターには手が出せませんでしたが、このDCのシグネチャーは18,700円と手が届く価格帯であり、ファンは喜びました。さらに2025年10月にはLouis Vuittonのシューズの代表的なカラーであるブラック × オレンジの配色をサンプリングしたカラーウェイを発売し、ダメ押しのカウンターを決めたのです。

 

 しかし、この一連の物語は2025年11月に突如として終わりを告げることに。ルシアン・クラークがDCを抜け、Gucciに移籍したのです。まさか、ルシアン・クラークがもう一度ハイブランドのシューズを履き始めるとは…つねに想定外の動きで驚かされます。
 果たして次はどのような物語が待っているのでしょうか。ルシアン・クラークの今後の動向に注目していきたいです。
 また、上記で紹介したいくつかのモデルで筆者の詳細解説動画もあります。下記に貼り付けておきますので、ご覧いただければ幸いです。



 

FRICKS KICKS

苦節8年、YouTubeにオリジナル動画100本超で総再生約40万回と超低空飛行中。

@fricks_kicks

  • Royal Trucks
  • DC SHOES