THE MAGICIAN

 待望のiTunes販売がスタートして間もないadidas Skateboardingの『Away Days』ですが、早くも限定配信というかたちで何名かのパートがオンライン公開されていますね。なにしろ「勝利の三本線」ことアディダスの初フルレングス作品ですから、公開前からそのメンツの豪華さには震えていたわけですが、今回予想に反してというと少し語弊があるかもしれませんが、僕にとってはいい意味でのサプライズ的なパートがありました。それは北欧はノルウェー出身で「マジシャン」の異名を持つ欧州の実力者、グスターヴ・テンネセンのパートです。
 このグスターヴさん、現在も自国のボードカンパニーのプロとして活躍しており、世界的な知名度を誇るスケーターではありませんでしたが、以前SK8MAFIAとノルウェーのカンパニーSWEETが連名で発表した作品『Stee』での素晴らしいパートを観て以来、その魅力にすっかり取りつかれました。今回その映像が入手できたので詳しくはご確認いただければと思いますが、とにかくフロントフット系のトリックが神の領域です。もちろんすべてのトリックに非の打ちどころがないのですが、特にその黄金の左足(彼はレギュラースタンス)から繰り出されるトリックが超絶過ぎます。中でもBs180ノーズグラインドからのコンビネーションやフリップアウト系がトンデモナイです。そして下手に扱うとそれ本来の価値(難易度というよりは芸術点においての)を下げてしまいかねないスイッチトリック、例えばスイッチフィーブルやスイッチスミスなんかのフリップアウト系をも違和感なく取り入れることの出来るそのスタイルは、唯一無二と言っても差し支えないレベルだと思っています。
 そして今回、『Away Days』においても彼の抜群のセンスとスキルは健在で、まだ観ていない方のためにここでその多くを語ることができないのが歯がゆいのですが、晴れてadidas Skateboardingチームの一員として魅せた彼のそのスタイルは、新たに完成された欧州のひとつのスタンダードとして、広く受け入れられていくのではないかと思うのであります。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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