メガネの一発芸

 もう何本目になるんだろう? ミネソタ州ミネアポリスのスケートショップ、FamiliaやCal Surfに集うローカルスケーターたちが中心となり、主に彼らのローカルスポットや東海岸などで撮りためた映像をこれまたおそらくローカルの一員であろうピート・スプーナーというフィルマーがまとめた最新作『Insano』が先日発売されました。彼らが手がけた前作『Debri2』の発表が2015年の春だったので、それからわずか2年弱での新しい作品の発表は、スケートには厳しい条件下(ミネアポリスあたりの冬の寒さは尋常じゃないらしい)にあるにもかかわらず、ローカルショップに集う多くのスケーターが逆境をユーモアでかわし、どれだけ生産的に動いているかの証明であるとも言えると思います。
 そんな彼らのビデオに必ずと言っていいほど登場し、今作『Insano』でもやはり抜群の存在感を見せつけてくれたスケーター、パット・ギャラハーは僕の大好きなスケーターのひとりです。かつて、「でっかくなっちゃった!」でおなじみのメガネ芸で昭和の日本の茶の間を和ませた外国人タレント、ケント・デリカット氏を彷彿とさせる個性的な凸レンズのメガネにアンバランス過ぎる見事なあごひげを蓄えたルックスに、「切りすぎじゃないのか?」とこちらが心配になってしまうほど大胆にカット(夏場のショーツは特に大胆)されたパンツが個性的な彼のスケートは、なんといってもそのスイッチトリックのチョイスが魅力的。中でも50-50系のヴァリエーションが豊富でアウトも玄人好みなものを多数披露してくれています。だってスイッチのFs 50-50からのBs 180アウトとか、マジ最高のメガネの一発芸でしょ! って失礼か。ごめんあそばせ。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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