将帝図(SHORTY'S)

 毎週金曜日、スケートボードにまつわるさまざまな事柄を僕の独断と偏見でもって一方的にお伝えしているこのページに前回、Facebook上にてとある企業様から励ましのお言葉を頂きました。「Fulfill your Dream!」というあたたかいメッセージを残してくれたその企業様のお名前はShorty’s Hardware。僕が知る限りでは、’90年代の初め頃からBlack Magicというグリップテープやボルトなどのハード面でのプロダクツで世界中のスケーターを支え、アメリカのスケートマガジンにユーモアたっぷりの雑誌広告を多数掲載。1998年頃にはスケートチームによるビデオ『Fulfill The Dream』を発表して主にサンディエゴを拠点に活躍していた多くの若き才能を世に送り出し、当時の最先端トリックをレールやステア、レッジで連発、ハンマーとテクニカルを兼ね備える最強のストリートスタイルを確立。現在のスケートにおける主流、いわゆるメジャーとされるスタイルはこの時期、彼らによって完成されたといっても過言ではないと思います。

 そしてこの時代を象徴するスケーターとして真っ先に思い浮かぶのがチャド・マスカ。ブロンドの髪をなびかせ、まさしく彗星の如くシーンに現れた彼は驚異的なスケートと、その唯一無二の個性で当時の多くの若いスケーターたちを虜にしました。この時代を路上でのスケートに明け暮れた者なら誰もが一度は憧れたであろうスタイル。今回紹介している某有名フラットトリックのコンペ映像に、ジャッジで現れている気の良さそうなメガネのおじさんを侮るなかれです。かなり楽しげにサムアップを連発してジャッジを楽しんでいるこのお方は凄いんです。ひとつの時代を築いた人なのです。個人的にはフラットトリックのバトルよりもマスカの一挙手一投足に興奮してしまいます。
 そしてそんな彼のスタイルを継承し、更なるテクニカル要素を加えて自身のスタイルを確立したのがピーター・スモリックやブランドン・ターナーであり、彼らは今現在もそのローカルシーンを大切にしています。そんな彼らの背中を見て育ったであろう世代、DCのウェス・クレマーや前回紹介したタイラー・サーリーら若いプロが彼らのアイデンティティを、SK8MAFIAというカンパニーの中に見出し、新しい世代の感覚を刺激し続けています。
  そんな昨今、目が離せないSK8MAFIAクルーの生みの親であるShorty’sのグリップテープは昔も今も最高です。まだという方、是非お試しあれ。

–TH (Fat Bros)

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