Tony Karr

 先ずは花粉症に端を発するアレルギー症状に悩むすべてのスケーターに一言。共に耐えしのぎましょう。負けてたまるもんか。
 そんな季節限定の嘆きから始まる今回は、最近個人的に気になりすぎるスケートボーダーをひとり紹介させてください。彼の名前はトニー・カー。’90年代にそれまでのスケートシーンに革命的ともいえる新しい姿勢を持ちこんだ、サンフランシスコ発のStereo Skateboardsに現在所属。それ以外の彼の詳しいデータは持ち合わせていませんが、その滑りを見れば一目瞭然、超イケてます。昨今の才能ある若手のやや過剰とも思えるビジネスサイドからの積極的露出に相反するかのように、現場でその表現に磨きをかける彼。その背格好から察するに、まだ相当なヤング&プリティ。そこには決死のハンマートリックが数多くあるわけでもないし、某サイトが開催するフラットトリックの猛者たちの集いに、今後彼が名を連ねることはおそらく無いでしょう(失礼御免)。だからと言って、彼がイケてるストリートスケーターなんだという言い方もしたくはありません。そもそも個人的には、ストリートスケーターという括りが僕はあまり好きではありません。もう夜も遅いし疲れているので、この話題をここで掘り下げることはしませんが、思うに彼のスケートに僕が惹かれる理由はその心持ち。「とにかく楽しそうに滑ってるな」ってこと。これに尽きます。
 けがや災難はもちろん、続けるということで、今後誰もがいろんな事情でスケートに真摯に向き合うことが出来ない状況に陥ることがあります。そしてそのままスケートから遠ざかり、離れるものもおりますし、残念ではありますがそれも現実です。だからこそこんな若いスケートボーダーの感性に、共感できる感受性はいつまでも持ち合わせていたいものです。
 Tony’s timeをお楽しみあれ。

–TH (Fat Bros)

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