WES KREMER GETS SOTY

 今年は大方の予想通り「東京広尾病院生まれ、サンディエゴ育ち、ワルそなMAFIAはみんな友達」でおなじみのウェス・クレマーが見事SOTYの栄冠を手に入れましたね。めでたしめでたし。
 個人的にはKrookedのボビー・ウォレストを応援していましたが、あくまでもこの祭典は厳密なジャッジによるコンテストの類とはちと違い、年に一度のまさにお祭りです。なので、今回ノミネートされた誰がその栄冠を手にしてもそれはめでたいことであります。
 それにしてもこのウェス・クレマーというスケートボーダーは本当にいいスケーターですね。昨今のプロスケーターの技術的なレベルは「さすがにもうその先は無いんじゃないか?」と思わせる正確さとダイナミックさを持っていますが、彼も疑いなくこのレベルのスキルを備えていて、ステアにハンドレールはもちろん、トランジションでのスケートもまさに超一流。そのうえ、ちょっと奇をてらったようなトリックにも好き嫌いなく取り組むその姿は、本来スケーターが持ち合わせている遊び心を体現しているかのようなスタイルです。その結果、彼のビデオパートはどれも観る側を楽しませてくれるものばかり。そして地元サンディエゴとそこに集う仲間たちをこよなく愛し、仲間とのセッションを心底楽しんでいる様子には好感が持てます。
 そして改めて彼のスケートを見て感じること、それは僕が信じる最も本質的なスケーターのかっこよさです。ボサボサのヘアスタイルに比較的地味なカラーのTシャツにパンツという出で立ちからは、その外見を必要以上に意識している様はまったく感じ取れません。それはまるで「流行のヘアスタイルも、タイトなシルエットも、派手なソックスもタトゥーも必要ない。ただ仲間とスケートを思いきり楽しみたいだけ」。そんな声が聞こえてくるような圧巻のスケート。そのライフスタイルはまさにスケーターのお手本といったところでしょうか。

–TH (Fat Bros)

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