フロント180からスイッチスミス、あるいはスイッチ180からフロントスミス。これを「バーリーグラインド」と呼ぶのはスケーターなら誰もが知るところ。ドニー・バーリーの名を冠したこのトリックは、日本では赤間凛音の十八番としても知られています。しかし「名前がついている=本人が発案者」というわけではないようです。
バーリー本人の話によると、このトリックの着想は『Video Days』でマーク・ゴンザレスが見せたアーリーウープ180からフェイキー50-50などの流れに影響を受けたものだったそう。そして’95年頃にフラットバーでこのグラインドを習得し、翌年の『Welcome to Hell』で発表。メインとスイッチをバック・トゥ・バックで決めたあのエンダーをいまでも覚えている人は多いでしょう。ただしバーリー自身も「自分が最初ではない」と認めています。実際、このトリック自体は彼がメイクする数年前からすでに存在していたのです。
海外には、こうした経緯を細かく掘り下げるスケートオタクたちがいます。そのリサーチによれば、バーリーよりも先にこのトリックを映像に残していたのは、’91年リリースの『Celebrity Tropical Fish』に登場するカーティス・マッキャン。そして同年の『1281』ではリック・イバセタも披露しています。両者とも同時期に映像に残していたようですが、リサーチの結果によると、先にメイクしたのはイバセタのほうだったとか。ちなみに「バーリーグラインド」という名称を広めたのはフォトグラファーのマイケル・バーネット。Thrasher誌でその名称を使ったことで、名前が定着したのでしょう。
つまり結論として、バーリーグラインドを最初にメイクしたのはリック・イバセタ。このトリックを見たり実践したりすることがあれば、イバセタへのリスペクトを忘れずに。彼を知らないという人は、是非とも『1281』のパートをチェックしてみてください。
—MK










