ロシア・モスクワ出身のフィルマーであるパシャ・クリュコフから一通のメールが。中央アジア・カザフスタンに存在する唯一のスケートショップWallride Skate Shopによるビデオ『PEACH』が完成したとのこと。
ただしこの作品には知っておくべきバックストーリーがあります。本作のディレクターのひとりであるパシャは4年前に戦争が始まって以降、ロシアを離れざるを得ませんでした。そんな彼が身を寄せたのがカザフスタンのWallride Skate Shopのクルー。
直近の1年のほとんどをアルマトイという街で過ごし、仲間たちとともに撮りためた映像は最終的に17分のビデオ作品『PEACH』として結実。撮影地はトビリシ、エレバン、アルマトイ、アスタナ、そして上海。国や都市を横断しながら映し出されるのは、ショップライダーとその仲間たちの姿。そのなかには、パシャと同じように戦争をきっかけにロシアを離れたスケーターたちも含まれています。
『PEACH』は政治や個々の境遇を前面に押し出す作品ではありません。そこにあるのはストリートの質感、街の空気、そしてスケートを介して自然に生まれる関係性。本作を見終えた頃には、これまで地図の端にあったはずの中央アジアが現実味を帯びて少し近く感じられるかもしれません。
国境や言葉、文化や状況が違っても、スケートが育むコミュニティや絆は変わらず。そんな余韻を残す一本です。
—MK









