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異次元の映像体験
──QUASI "BOBCBC"

2025.04.21

 2025年の上半期で一番ぶっ飛ばされたビデオ。CBCというカナダ・トロントのプラザでのみ撮影された、ボビー・デカイザー(通称BDK)のクリップで構成された24分33秒。
 期間は2024年9月12日から11月25日の2ヵ月ちょい。何度もCBCに足を運び、完璧なラインに挑みます。季節は変わるもロケーションはそのまま。どこかドキュメンタリーのようなタッチで、新しいカタチのスケートビデオを見せられているよう。
 BDKが個人的にお気に入りのスケーターということもありますが、ワンスポット・ワンスケーターという制限のなかで、ここまで多彩な映像世界を構築できる作品が他にあったでしょうか。BDKという存在の特異性、そして圧倒的なスキルと美学があってこそ成立するアプローチ。
 鋭く切れ味のあるフリップトリック、センスが爆発したレッジトリック、そして緻密に構成されたラインの数々。神がかったメイクまでのプロセスも含めて、撮影現場を追体験するような感覚。狙うトリックやラインのレベル、そしてそれらに求める精度の水準が高すぎてフラストレーションを爆発させることも。基本的に普段の我々は完成されたBDKのクリップを楽しんでいるわけですが、その背景にある壮絶なバトルはマジで必見。
 ちなみに本作は限定500枚でブックレット付きBlu-rayとしてQuasiからリリースされており、その本気度も伝わってくる。なかにはこれを「スケート史上最低のビデオ」と揶揄するYouTuberもいますが、それは表層しか見ることができていない証拠でしょう。BDKのマインドにテンポよく没入していくその感覚は唯一無二。
 このスタイルが許されるのはBDKのみ。まだ観ていないスケーターは、今すぐ予定を空けてチェックすべし。異次元の映像体験を楽しんでください。

—MK

 

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