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ワンカットの美学
──BUMP

2022.03.01

 今年のサンダンス映画祭で上映された短編『Bump』が面白い。この作品は街角でぶつかったふたりの男が「同じようにぶつからないと不公平だから、やり直してオレの方からぶつからせろ」とか「今から女とヤる予定があるからちょっと待て。30分で戻ってくる」といったコミカルなやり取りを繰り広げる3分の会話劇。しかも個人的にグッと来るのは、これがカットなしの長回しというところ。さらに監督が脚本を担当するだけでなく主演(小さい男のほう)までしています。
 本作はジム・カミングスの『Thunder Road』に影響されているとのこと。『Thunder Road』も2016年にサンダンスに出品された短編映画で、カミングスが監督・脚本・編集・音楽・主演を務めています。主人公の警官が母親の葬式で、彼女が好きだったというブルース・スプリングスティーンの曲を熱唱してドン引きされるという内容。そしてこちらの12分の作品もワンカットで撮影。
 両作に共通するのは、ワンカット撮影、監督がひとりで何役もこなす才能、そして日常のシーンを間抜けでチャーミング&オフビートな形で切り取るセンス。低予算でもミニマルな設定でも関係なし。センスと才能さえあればこんな素晴らしい作品が作れるのですね。ちなみに『Thunder Road』はその完成度の高さでグランプリを獲得し、長編映画化されています。『Bump』も続いてほしい。
 ということで『Bump』と『Thunder Road』をどうぞ。じわじわとズームインしていく感じが最高。

--MK

 

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