先日公開されたJapanese Super Ratのインタビューにちなんで、今回は彼が多用するノーコンプライについて少し掘り下げてみたいと思います。起源には諸説ありますが、ここでは最もよく知られているジョン・ルセロとニール・ブレンダーにまつわる逸話をご紹介。
ルセロの話によると、ノーコンプライが生まれたのはボーンレスが普及した直後のこと。前足を地面につけて飛ぶその動きから着想を得て、デッキを掴まずにカーブやパーキングブロックにバックウィールを当てて跳ぶ方法を編み出しました。当時は冗談まじりに「カーブスマッシャー」と呼んでいたそうです。
そんなある日、ルセロがパーキングブロックでこのトリックを繰り出していたところ、たまたま居合わせたのがニール・ブレンダー。彼はそれを見て、「理解できない。バカげている。ノーコンプライだ」と言ったとか。ここでの「ノーコンプライ」は「no comprende(理解不能)」というニュアンスで使われたそうです。
ちなみに、本来ノーコンプライとはカーブなどを使って跳ねるトリック。フラットで体を180°回すような動きは当初ステップホップと呼ばれていました。しかし現在では、カーブを利用したものも、フラットで行うものも、さらにはそこから派生した数々のバリエーションも、すべてノーコンプライと総称されるようになっています。
というわけで、このトリックが発案されたのは'82〜'83年頃。最初はジョークのように始まったものが、’90年代の人気の浮き沈みを経て、今ではストリートスケートを象徴する存在としてしっかり定着しています。
どんなトリックにもストーリーがあります。その背景を知ってから実践したり見たりすると、同じ動きでも受け取る感覚にぐっと深みが増してくるかもしれません。
—MK










