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決定的瞬間
──BOMB DROP

2019.05.10

 ひと昔前は近所や街中の広場でスケボーに乗り始めるのがほとんどでしたが、全国的にパークが増加したのもあり、今ではパークでスケートを始める人もかなり多いんじゃないでしょうか。たまにスケートスクールで先生として教えていることもあり、「どんな練習からすればいいの?」と聞かれることもしばしば。パークのセクションに躊躇する人も少なからずいるのですが、「まずは基本、プッシュで板に慣れること。自分の進みたい方向に進めるぐらい慣れてきたらバンクやアールに触ってみるのも上達への近道ですよ」と伝えています。しかし自分が始めたての頃を思い出してみると、特に初めてアールの上からドロップしようとする時が怖いのなんのって! いざやってみると意外とすんなりいけちゃって自信を得る人もいる一方、思いっきりスラムってしまうパターンもそれなりに見てきました。そしてそれらはパークセクションを攻めるモチベーションを左右する最初の分岐点でもあるようにも思います。
 基本中の基本であるドロップも他のトリック同様、やりようによって相当な根性を要するわけで、みなさんお気に入りのスケートビデオにもそんな映像のひとつやふたつは収録されていることでしょう。標準的にはテールを掛けた状態からのイン、上から走ってきてロールイン、より技術を要するものとしてノーズピックやノーズブラントの状態からのイン、失敗すりゃ鬼ハング、ボトム落ちの危険性MAXなアシッドドロップ…などでしょうか。とは言えその他の一般的なトリックと比べるとヴァリエーションが限られてくる上、場所も絞られてきます。それゆえ「ココいったの!?」的な1発1発の印象が残りやすいんじゃないかと。最近だとカナダのおバカコンテスト、Dime Glory Challengeでの数々のスケーターによるドロップ劇、特にケイダー・シラの特大ドロップ・バンクインにぶっ飛ばされた人も数多くいることでしょう。いよいよ人間業とは思えぬクレイジーなドロップも見られるようになってきました。「デカけりゃイイ」で片付けられるものではないですが、未開のスポットに新たなスケーターの足跡を残すことも多い単純明快なトリックだからこそ注目度も高まります。
 前代未聞の10連休となった今回のゴールデンウィーク。友人と遠出した先で見たものはそんなクレイジーなドロップイン。10代スケーターの、失敗すればスケートライフを断たざるを得なくなるほどリスキーなドロップインの瞬間を目の前で見ていました。たまたま居合わせたブラジルから来日中のスケーターもこれには「アメージング!」を連発。GWの10連休なんかよりも、「そのドロップインを目撃できたことのほうがよっぽど価値がある」。メイクを見た瞬間、僕は「次のYo! Chuiはコレっきゃねぇ!」と密かに奮い立ち、こうやって文章にしてみたのであります。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 

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