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初デッキとの甘酸っぱい思い出
──初恋

2016.09.09

 初めて心奪われた板ってどんなのだったか、みなさんは覚えていますか? 僕は今でもそれをはっきりと覚えているのですが、それはまるで初恋の人と初めて目が合ったときの感覚にとてもよく似ているような気がします。遡ること25年前、今は無き某スポーツ店がその出会いの場でした。ブランドは忘れましたが、惹かれたのはその魅力的なグラフィック。『ジョジョの奇妙な冒険』のキャラをモチーフにしたような長髪の筋骨隆々な男が膝を抱えて佇んでいる図柄がノーズとテールに配置され、海外(=ほぼアメリカ)ブランドにしては珍しく縦方向にアルファベットで描かれた「KIEN LIEU」の文字。当時を知る方ならもうお分かりでしょうが、それは強靭なハイオーリーを武器に当時のストリートシーンを席巻したアジア系のプロスケーター、ドンガーことキェン・リュウのプロモデルでした。
 しかし当時まだ十代であった僕には新品のボードはまさに高嶺の花そのもの。手に入れようにもカネも無ければ、当時のコアな雰囲気のスケートショップでそれを堂々と買う勇気もないポーザー予備軍全開だった僕にできることといえば、時間が許す限りそれをただ眺めるためにショップへ通うという何とも迷惑な行為。そうやって僕が運命の出会いに怯んでいるうちに、その板はどこかのおそらくイケてるスケーターの手元に渡ったようで、それを眺めることすら叶わなくなりました。
 こうして気付かされた大きな後悔と自分の素直な心情、すなわち「やっぱり自分で選んだ板が欲しい」という決意にも似た気持ちを固めた僕は、後日なけなしのカネを持って再びショップを訪れます。そして緊張しつつも勇気を振り絞り、僕は堂々とイケてると感じたセールデッキを手に入れました。そうやって初めて自分で選んで買った板は、頭にハンドルの付いたマヌケ面が二輪にまたがってる何とも滑稽なグラフィックの、Milk Skateboard Goodsというデッキブランドのロン・チャットマンのプロモデル。
 結局初恋の相手(板)との楽しい時間は持てませんでしたが、その後自分の感性に従って選んだ板で取り組んだスケートボードはおかげさまで今でも楽しく、あの頃と変わらない好奇心を持って取り組むことができています(体力は著しく低下しましたが)。
 そして何よりも僕を興奮させ、幸せな気持ちで満たしてくれるのは、最初に心奪われたモデルをリリースしたプロスケーターと、初めて自分で買ったモデルのプロスケーターがおふた方ともいまだ現役でスケートボーディングを楽しんでおられることです。

─Takayuki Hagiwara(FatBros

 

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