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小売業の不況が叫ばれる昨今、東京・神田のスケートショップPRIME SKATEBOARD STOREは絶好調のまま2周年を迎え3年目に突入。世界初の回転式デッキディスプレイやBUILDERシステムなど、日本のスケートショップの概念を変えたさまざまなアプローチにより瞬く間に人気ショップとなったPRIMEのオーナー、金井信太郎に話を聞いた
──PRIME SKATEBOARD STORE

2017.10.31

PRIME SKATEBOARD STORE

[JAPANESE / ENGLISH]

Interview by VHSMAG, Photos by Junpei Ishikawa

VHSMAG(以下V): 神田にスケートショップをオープンしたきっかけを聞かせてください。

PRIME SKATEBOARD STORE(以下P): オープンしたのは2015年になるんですけど、当時から東京のスケートショップって渋谷とか原宿に集中していて。でも東京都内を見てもどこの地域にもスケーターはいるんだけど、何か買うにも渋谷エリアに行くかネット通販をしないといけない。それで渋谷を東京の西エリアとすると神田は東エリアで、こっちの方にもストリートスポットはたくさんあってスケーターはたくさんいるのにいいショップがなかった。自分も東側の人間だったので「なんでショップがないんだろう」って思っていて、渋谷の真逆である東京駅近くに店を出したかった。それがひとつです。あとは2年前はちょうどオリンピックでスケートが決まる直前くらいのときで、これからスケーターがどんどん増えていくだろう、増やしていけるチャンスなんだけど、「玄人向け」や「怖いイメージ」っていうスケートショップのあり方はずっと変わらなくて。そういうのを少しでも変えたい、もっと面白い見せ方ができて、これからスケートを始めたいって人にノンストレスで始められるやり方っていうのを提案したかった。

V: お店の内装やディスプレイでこだわったところは?

P: まず、この店舗は2階なので、外を歩いている人が窓を見ただけで何屋なのかを伝えたいと思いました。それにはやっぱりデッキが一番だと思ったので、窓を全部塞いでデッキディスプレイを設置しました。閉店後はディスプレイを動かしデッキを反転させて表のグラフィックを外から見えるように、世界初の回転式デッキディスプレイを作りました。それとお店に来た人が「どこをどう撮ってインスタグラムに上げるのか?」というのも意識して内装を考えました。

 


 
V: Primeの魅力ひとつはオンラインですが、オープン当初からオンラインショップを強化した理由は?

P: お店に来ることができない人たちはネットで購入するしかない。でもスケートボードって「何を選んでいいかわからない」という意見が多くて、前職のスケートショップでは日々「どうやってパーツを選べばいいですか」とのお問い合わせに返信することから1日がスタートするような状況だったんです。なので、ウチのサイトを見れば「スケートボードってこういうものなんだ」というのをわかりやすく伝えられるよう心がけました。まずサイトにくる人ってデッキを買おうと思っているはずなので、まずは“スケートボードのはじめ方”というページにたどり着く。そこを見るとスケートボードのすべてがわかるというページ作りをしました。そして、各パーツについて説明した後、ウチの一番の強みであるBuilderという機能に流れていく。好きなデッキを選ぶだけで、それに合った足回りが全部絞り込まれていく…そのシステムづくりの構想をショップを立ち上げる1年くらい前から練っていました。
 


 

V: Buliderシステムの効果はどうですか?

P: 効果は絶大で、「スケートボードをどうやって買えばいいですか?」というお問い合わせは前職の1/20くらいになりました。お店に来るお客さんも「動画を見ました」とか「“スケートボードのはじめ方”を見ました」という人が多いです。そこから入ってきてくれるので、最初から説明することも減りました。初めてのお客さんが「トラックはIndyがいいです」とか「ウィールはSpitfireがいいです」とか決めてきてくれるので接客が早いというのと、ある程度理解して調べてきてくれるのでスムースです。

2年間でカスタムで売ったコンプリートは2000台を超えました

V: Primeをオープンして2年が経ちますが振り返ってみてどうですか?

P: オープンして2年間でカスタムで売ったコンプリートは2000台を超えました。これには自分でもびっくりしていて、最初はお客さんが組んだコンプリートをインスタグラムで出していたんですが、追いつかなくなりました。コンプリートを売った数だけスケーターが増えたということにびっくりしています。計算すると1日平均で3台くらいのペースになっています。

V: それはオリンピック効果もあると思いますか?

P: オリンピックの効果は絶大だと思います。コンプリートが多く売れているのと、街中でスケーターが明らかに増えているので。みんな街でスケーターを見て「自分もやってみたい」ってなっていると思います。「スケートを始めてみたいけど、専門店に行くのはちょっと怖い」というのが実は本音だと思います。

V: Chaos Fishing ClubやTenboxなど、ドメスの人気スモールブランドはどうやって見つけているのですか?

P: ドメスブランドが売れないという時代が長く続いてみんなブランドを縮小させていく中で、実はウチのアパレルの売上の約7割がドメスなんです。取り扱い当初はまだここまで幅広く知られていなかったブランドでも、ブランドの人間と密に行動して、そこからブランドの性質を読み取ってPrimeの独自のやり方で推して行く。本当にいいブランドは必ず広まります。それの一番最初のきっかけになりたいってだけなんです。見つけているというよりも、みんなで一緒に作っていこうってイメージの方が強いかもしれません。Chaos、Tenboxはとにかくスケート業界の枠を超えたトップドメスブランドだと思います。

V: バリューを伝える作業をしているということですか?

P: そうですね。やっぱりブランドに対して愛がないとお客さんにもすすめられなくて。だから自分が本当に好きなブランドしか置いてないし、推してないです。

GENERATORは世界最高のウッドブランドだから絶対に使いたい

V: 定期的にリリースしているPrimeオリジナルデッキについて聞かせてください。

P: 自分は「日本ではショップデッキが売れない」というイメージを持っています。それで「なんで売れないんだろう」って思ったんですが、自分でも乗ったことはなかったんです。そこで、まず一番こだわったのは品質。ウチはGenerator社製にこだわっています。「Generatorは世界最高のウッドブランドだから絶対に使いたい」と。そして品質とともに重要なのはデザインだと思ったので、遠目から見ても一発でPrimeだとわかるデザイン。ウェブとかで小さい画像で使われたとしても目立つデザインというのを意識して毎回作っています。どれだけシンプルかつ目立つデザインにできるか、それだけを考えています。その甲斐もあってか、ショップデッキはすごく売れます。毎回ありがたいことに完売して、発売前には予約まで入るようになりました。

 

 
V: これまでにさまざまなメディアで取り上げられてきましたが、スケートショップでは珍しいと思います。その理由は何だと思いますか?

P: 実はストリート系雑誌のOLLIEからは1回しか取材を受けたことがないんです。取材を受けるほとんどがファッション誌。ファッション業界から注目されたってのが最初です。スケートブランドの服っていうのはスケートショップにしか置いてないと思うんですけど、ファッション業界の人たちはスケートショップに買いに行くのが嫌なんでしょうね。スケートブランドの服がほしいんだけど、なかなか買いに行けない。うちはスケーターじゃなくても入りやすい店を作れたのが一番の理由だと思います。なので、同じスケートショップだった前職とはお客さんの層が真逆といいますか。お客さんの層が20代後半~40代、富裕層のファッション好きが銀座のDover Street Marketとかからこっちに流れてきて買っていくという流れができています。だからウチもつねに高感度のものを追いかけてお客さんにプロモーションしていく。Primeはスケートショップですが、スケーターだけを見ているとマーケットが広がっていかないので。どんな始め方でもスケートを始めてくれれば僕はいいと思っていて、それは服からでも音楽からでも自由。なので、服好きの人たちへのアプローチをかけた結果、取材してくれる雑誌もここまで大きく変わってきたんだと思います。

V: 数あるブランドの中で売れるブランドを見抜く秘訣とは?

P: デザインの良し悪しだけで見ると失敗すると思っていて、重要なのは「ブランドをやっている人間が誰なのか」。デザインがかっこよくても、やってる人間が得体が知れないとすぐ消えていくと思うんですよね。なので誰がやっているか知らないと取り扱わないんですけど。ブランドを取り扱い始めて、どのようにお客さんに説明していくかなってイメージしたときに「これだったら説得力のあるブランドにできる」とか考えます。デザインがそんなに良くなくてもストーリーが良ければやりたいって思うときもあります。

V: では今売れるブランドの特徴とは?

P: 難しいですね…。今はスケーターイメージ(暴力性や男気系)を打ち出していくようなブランドじゃなくて、もっとライトなグラフィックを勢いで出していくブランドが人気が高い気がします。それこそ来年あるかわからないようなブランドも多いかも知れないけど、単発だとしても勢いのあるブランドが今後も出てくると思います。ただそこでブランドとしての説得力が裏側にないとスケーターに支持されないと思います。

誰もやってないことを一番最初にする

V: スケートショップ運営で心がけていることは?

P: ショップを立ち上げたときからそうなんですが、「誰もやってないことを一番最初にする」というのをつねに考えています。安売り合戦だけになり、価格を下げたもん勝ち…みたいなことには興味がなくて。それよりも誰もやったことがないやり方、ブランディング、プロモーションで商品を売っていく。そうすればPrimeだけの世界観が出せるので。つねに世界初のことをしようって考えています。その最初がウェブサイトだったという感じです。

V: 日本のスケートショップの現状についてはどう思っていますか?

P: よく「スケートボードが売れない」って話を聞きますが、衣食住とは違う趣味を商売にするってことは、ただお客さんが来るのを待つだけではダメだと思うんですよね。自分たちから仕掛けていくことをやめたら、それがどんなに有名なショップだとしても生き残っていくのは大変だと思います。現在これだけスケートボードを始めたい人がいるので、積極的にアプローチしていくことが重要だと考えています。

V: 今後のスケートシーンはどうなっていくと思いますか?

P: 自分的には、もっともっとスケーターは増えていくし、オリンピックが近づけばもっとメディアの露出が増えて、そのときにもっと大きな資本がスケートショップをやるとか、そういうような時代に変わってくるかもしれないですね。ウチがつくったウェブサイトとかも、お金があれば誰でも作れるものなので。だから、僕らを含め小さいスケートショップはもっと危機感を持って基盤を築いていかないと、近い将来リアルなスケートショップってのはなくなっていっちゃうんじゃないかなと危惧しています。

V: スケートショップを運営する醍醐味は?

P: スケートを始めたいって人がこんなにいるって知ることができたことと、さまざまなアイテムに自分が囲まれている幸せ。それとお客さんとの近さ。普通のアパレルショップとかだとお客さんと滑りに行ったり飲みに行ったりってこともないでしょうけど、僕はいつも気が合うお客さんとその場で滑りに行っちゃいますし、飲みに行ったりとかもあるので、お客さんとの信じられないくらいの距離の近さっていうのが好きですね。

V: 3年目を迎え、振り返ってみてこれまでで一番印象的なプロジェクトは?

P: やっぱり一番印象的だったのは三越でのイベントですね。この神田・日本橋エリアで最も権威あるデパートの日本橋三越でまさかスケートのイベントができるなんて。そんなの予想を超えすぎていて。しかもそれをあんなにすごいメンバーのなか誘って頂けたというのはうれしすぎました。T19の故・大瀧さんと毎日一緒に仕事ができたのも自分の最高の思い出です。今後もあのイベントはずっと続いていくと思いますが!
 



 

V: 最後に、Primeの今後の展開を聞かせてください。

P: 未確定ですが、ライダーをサポートするために動き出そうと思ってます。オープンから2年間ライダーをとらなかった理由というのがあって、それはまずは知名度がないままライダーを迎えたくなかったというのと、初心者の人たちに十分にアプローチをしたかったので、次はスケーターに対しても同じだけのアプローチをしたいと。そのためにはスケートが一番説得力があると思っています。で、ライダーをとるというのは前々から考えていたんですけど、それは3年目以降と考えていました。その時はみんなが衝撃を受けるスケーターをチームマネージャーとして迎えます! まだまだ内緒です!!!

PRIME SKATEBOARD STORE
@prime_tokyo

2015年9月に東京・神田にオープン。世界初のBuilderシステムや回転式デッキディスプレイ、品質にこだわったショップデッキのリリースや日本橋三越でのイベントなど、他のスケートショップとは一線を画す展開で一躍人気ショップへと成長。

東京都千代田区内神田3-22-6 03-3525-8874 prime-skateboard.com

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