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クリエイティブだけど無頓着。ハイスキルだけど不器用。知識も経験も豊富だけど商売は下手…。
日本一人間臭いプロスケーター、イトシンこと伊藤慎一ここに参上。人望の厚さはピカイチ。
──SHINICHI ITO / 伊藤慎一

2017.04.03

Video by A HATERS PRODUCTION Photos by ISEKI

[JAPANESE / ENGLISH]

VHSMAG(以下V): 今回のFeatureパートのきっかけから教えてください。

伊藤慎一(以下I): もう何年も前ですけど、VHSMAGのスタッフから「Featureパート撮ろうよ」って言われて。彼とはMetropiaの『DAZE/DAYS』の頃から一緒に動いていたからやりたい気持ちはありましたけど、当時は『QUE』の撮影と重なっていて…。それが終わり次第「やろう」って約束しました。

V: 『QUE』が終わったのはいつ頃だっけ?

I: ちょうど2年くらい前じゃないですかね。今回のパートの撮影期間は1年半くらいかな。

V: 今回のパート制作で一番大変だった撮影は?

I: 一番大変だったのは結局メイクできなかったヤツ(笑)。何度もチャレンジしたけど最終的にダメだった…みたいな。

V: いろんな場所で撮影したみたいですが?

I: 台湾は2回行ったのかな。韓国や沖縄、愛媛も行ったし、結構いろいろ動いたっすね。超面白かった。でもやっぱり台湾は格別だったかな。人はめっちゃ優しいし、食べ物もうまいし、世界で一番女の子がかわいいのは台湾人だとオレは思ってます(笑)。

V: 今回のパート制作で学んだことを聞かせて。

I: 「努力をしないとメイクしない」ってことですかね。やっぱ行動しないと形にならないし、形にしたいんだったら行動しないとってことですよね。

V: では、『QUE』と今回の撮影の違いは?

I: フィルマーに合わせること(笑)。それ以外は変わんないかな。Lesqueのビデオだとディレクションが自分たちだから結構ユルくなっちゃうけど、今回はVHSMAGのディレクションも加わったコラボっていうか。スポット選びの提案とかも手伝ってもらえたし。たまに「オレここ行きたいんですけど」って言うけど「そこ無いっしょ」って却下されたり(笑)。「なんでだよっ! オレの意見全然通らないじゃん…」なんてことも(笑)。

V: 今パートでもNBDのトリックがあるね。

I: どれがNBDなのかオレにはよくわからないんですけど、スポットで「誰もやったことがない技をやろう」と意識はしていました。人と同じことをやっても面白くないし、見ている人を驚かせたい。「前回のパートの方が良かったよね」なんて思われるのも嫌だし。

V: 特定の場所で特定のトリックをするために練習をするタイプ?

I: いや、まったく練習しないです。行き当たりばったりです。そのスポットに行かないと出会わない、そこでしかできない、誰もやったことがないようなトリックを考えるようにしてます。「この場所でこの技は出ないでしょ〜」っていうのを日々追求して、考えてパートを構成しました。大きいハンドレールやステアなどは日々の練習が裏切らないと思うんですが、クリエイティブなタイプのスケーターは練習よりも「どれだけ頭を柔らかくするか」っていうのが必要だと思います。スポットで身体を温めながらいろいろトライして、「今日の自分に合うトリックはなんだ」ってまず自分と向き合って、「今日はこのトリックが調子いい」っていうのが見つかったら、それを温めてさらにネクストを狙うって感じですね。

V: これまでのパートに比べて、今回はスポットやロケーションにこだわりを感じましたが。

I: これまでのパートよりもより都会的っていうか、やさぐれてる感を出したいというか。ストリートならではの臨場感というか、いつキックアウトされるかわからない時間との戦いがありました。『QUE』のときは大人数で動いていたので、なるべくキックアウトのないところへっていうのがありましたけど、今回は少人数で動いていたからよりシビアなスポットで敢えて撮影した感じです。

V: それ以外でこだわった点は?

I: どれだけクリエイティブに面白いものを見せることができるかってところ。スタンダードではなく、見たことのない技とか、たとえ誰かやっていたとしても少数派。世界でも数人しかやっていないようなトリックを目指しました。

V: クリエイティブなスケートのインスピレーションの源は?

I: インスタグラムですかね。インスタで適当に見たトリックの中から「うわっ、なんだこれは!! これ見たことねぇ」とか「これにもう一味加えたらやばくない!?」っていうのだったり。いろんな映像を見ていろんな発見をして、それを実際に自分なりにアレンジしてトライすることが多いです。

V: 年齢的に、これが最後のソロパートかもっていうのはあった?

I: 毎回「これが最後のパートでしょ」って言ってますけど、今後もパートは作っていくと思います。オレのスケートってハンマーじゃなくてクリエイティブ系なので、比較的長くやっていけると思うんですよね。「ステアで大怪我してもうスケートできねぇ」ってスタイルじゃないから、まだ行けると思います。ただ、どんどんクリエイティブさを追求していかないとならないので、超変態になって気持ち悪いヤツになっていくかも知れないですね(笑)。オレは今後どういう風に変わっていくんだ…みたいな。スケボーしている限り進化はしていきたいなと。

V: では、次のパートの目標は?

I: パート撮影ってやっぱりフィルマーがすごく重要だと思うんです。だから次は「どのフィルマーが撮ったパート」を作りたいか考えています。相手がどう思うか知らないけど、TORIOTOKOとかSOUNDBOARDINGに撮ってもらいたいというのはあります。

V: ソロパートを出し続ける理由について聞かせてください。

I: 自分のことを忘れないでもらうための手段でもあるし、ブランドをやっているから「行動しないでどうすんだよ…」みたいなのはあります。撮影が好きだからライフワークとして長くやっていけてるけど、やらなかったらなにも起こらないし。パートが完成して、公開したときの周囲の声とか反響とかが一番のモチベーションですね。前のパートよりももっと驚かせたいとか、楽しんでもらいたいっていうか。

V: パートを出さないスケーターも日本には結構いると思うけど。

I: なにがしたいんでしょうね。まったく意味がわかんないですね。なんでパートを残さないんだろう。パートを作らないということは、最終目標がどこかってわかってんのかな、みたいな。スケボーでプロになりたいとか、スケボーでモテたいとか、みんなでスケートして酒呑んで乾杯してっていうのでもいいんだけど、スケボーでメイクマネーしたり、自分の評価を上げてスケボーで生活を向上させたいっていうんだったら、絶対にパートが必要だと思う。ソロパートは「これがボクです」っていう名刺だから。

V: イトシンにはもう十分に名刺があるんじゃない?

I: どんどん上書きしていかないと気がすまないし、それがライフワークなんで(笑)。自分、実はパークで滑るのがあんまり好きじゃないんですよ。パークに行っても1時間くらいで飽きちゃう。自分ができることが決まってるし。でも、新しいところに行ったらゼロからのスタートじゃないですか。パークだと何回も行ってたりするから同じことの繰り返しになってしまう。だけど、新しいスポットに行けば簡単な技でもゼロからのスタートなんです。それが楽しいんですよ。そのスポットで自分がどこまで戦っていけるか? どこまで挑戦できるかっていうのが楽しいんです。で、それを映像に収めるっていうプロセスも結果も好き。だから「滑りに行く=撮影」っていうのが好きです。

V: インターネットを介して映像を発信していくことについて聞かせて。

I: 最大のメリットは多くの人に自分の存在を知ってもらえるチャンスだということ。DVDで凄いパートを作っても買ってもらえなきゃ見てもらえないし。10年くらい前に、YouTubeに自分のスポンサーミーをアップして、海外のLakaiやSpitfire、Elwoodに動画のURLを送ったんですよ。そしたら「お前ヤバイな、サポートするよ」ってなったんです。そのときに「インターネットはヤバい」って実感しました。DVDを送っても向こうの手間がかかるからなかなか見てもらえない。その一方で、ウェブにアップすればメールにURLをくっつけて送るだけで手軽に映像を見てもらえるし、昔より世界は繋がっているなって思います。デメリットはDVDの場合は制作者に多少の売上が入ってくるけど、ネットで配信すると売上が入ってこないっていうことですかね。そこも最終目標がどこかっていうのが重要だと思います。オレらは動画をプロモーションとしてたくさんの人に見てもらいたいってのが前提。結果的に自分たちのデッキやアパレルなんかの販売に繋がってくれたら御の字です。

V: 誰でも簡単に動画を発信することができる世の中で、クオリティを保つ大切さについて聞かせてください。

I: それは超重要だと思う。みんなインスタを甘くみている気がします。「インスタだからいいっしょ」っていう投稿がめっちゃ多いと思う。インスタグラムもひとつのメディアだから、そこ手抜きしたらダメでしょ。やっぱり人に見せるものだから手抜きをするとフォロワー数も伸びないし、評価に繋がらないと思う。逆に「だせぇ、うぜぇ」ってフォローを解除されちゃうみたいな(笑)。インスタは超重要だから、プロとして活動するスケーターはしっかりやったほうがいいと思います。逆に、クオリティが高ければ無名でもすぐにフックアップされる良さもあると思います。インスタだから…とかいうのは無しにして、クオリティを高めよう。

V: では、日本でプロスケーターとして活動していくことの難しさについて。

I: やっぱりメイクマネーをするのが難しいですね。みんなそれぞれ最終目標が違うからなんとも言えないんですけど、金を稼ぎたいって思うんだったら海外に行ったほうが早いんじゃないかな。海外も甘くないけど、チャンスは日本よりもあるような気がします。なにしろ世界の土俵で考えて行動しないと上には行けないと思います。もちろんお金以外のところでもみんなとツアーやデモに行ったりとか、年齢関係なし一緒にバカできて、同じものに共感して盛り上がったりっていうはプロスケーターの活動を通して多々あります。転んで立ち上がる精神とか、スケボーから学ぶことも超多いし。

V: Featureパート撮影中に、新しくSLD Skateboardsをスタートさせたようだけど?

I: いままでLesqueってブランドをプロデュースしてたけど、自分的には一段落したかったので、今後は自分のダークサイドな部分やエゴを打ち出せるブランドとして新たにSLDをスタートさせました。

V: SLDってどういうブランドですか?

I: 「チルだけどやるときはやるよ」っていうのがコンセプトです。普段はルーズだけど、スケボーに乗ったらヤバイみたいな。チーム編成はスタイル重視。アイススケートでいうところの、技術点よりも芸術点が高いスケーター。もちろんスキルありきの話ですよ。

V: SLDの今後の展望を教えてください。

I: まずはライダーたちのパートを作っていろんな人に知ってもらいたいです。個人のパートはもちろん、チームモンタージュを作って映像で世界観を表現していきたいなと。5月の逗子映画祭で「座間(翔吾)ちゃんとオレのWパートをつくって欲しい」って依頼されてるんですが、座間ちゃんと撮影の日程が合わず…ほんとにできるのか!? みたいな(笑)。

V: 以前ブログで、「コンテストで結果を出すのもいいけど、やっぱりストリートでかっこいい映像を残さないと」というようなことを発言していたけど、あれの真意は?

I: オレ最初は“コンテスト野郎”だったんですよ。2002年頃は結構コンテスト野郎で、アマチュアサーキットで総合優勝とかして、いわゆるプロランクに上がったんすよ。だけど「で?」みたいな。そこからなにか変わったか? っていうとなにも変わらなかったんです。大会で勝ったからスポンサーが付いたってこともないし。そこで「これじゃダメだ」って地元から東京に出てきてフィルマーと知り合ってから映像で自分を表現するようになって、ようやく環境やキャリアが変わったっていうか。ていうか、みんなスケボーでなに観て育ってきたんだって。それは大会じゃないでしょ。みんな何かしら大好きなビデオがあったりして、それの影響を受けて育ってきたのに、大会のことばかり気にしてるっていうのはちょっと違うかな…みたいな。若い子はみんな「活躍したい=大会」ってなっちゃってるような気がします。特に地方のスケーターは。

V: では最後に一言。

I: 今回のFeatureパートを制作するにあたって一緒に動いてくれた仲間と、自分のスケーターとしての活動を理解して応援してくれている家族に感謝です。それとオレは映像しか評価しません。写真もコンテストもまったく評価しないっすね。映像オンリーです。まあ、オレに評価されたからどうにかなるってわけでもないんですけどね(笑)。

Shinichi Ito
@itoshin_1

Date of birth :
January 20, 1981

Blood type :
B

Birthplace :
Tsuchiura, Ibaraki

Sponsors :
SLD、Converse Skateboarding、Spitfire、Independent、Source、Eazy M!ss、Scene

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