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マエストロ
──BSNBS

2020.01.20

 バックサイドノーズブラントスライド、略してBSNBS。スケート歴30数年以上経つ往生際の悪い古参兵ですが、自分の知る限りもっとも“映える”トリックは、いまだにBSNBSだと確信しております。何がかっこいいかって、とにかくフォルムが美しい。腰のひねり具合とか腕の開き具合とか、ピーク時の斜め45°具合ライカ滝川クリステル。加えて難易度が高すぎて使い手がほとんどいないってのもポイント。擦りようにも擦れない、選ばれし者だけが到達できる領域。つい最近までは、自分の知る限り国内でBSNBSを華麗にこなす人は片手でおさまるくらいの数だったと思います。アールを使ってBSNB(固まる方)を決められる人は多少なりいるかと思いますが、BSNBS(スライドさせる)は別ランク。通常のBSNBがビジネスクラスだとしたら、BSNBSはファーストクラスみたいな。
 BSNBSとのファーストコンタクトは、たしかマット・ヘンズリーだと記憶しています。気になったので事実関係を洗い始めたところ、TWSの記事に辿り着きました。やはり発案者(少なくても世に広めたのは)はマット・ヘンズリー。'91年頃に撮影された(シークエンスはTWSに掲載、フッテージは『Questionable』に収録)カーブでの途中インからのBSNBS(しかも途中抜け)が、このトリックの原点。フロントサイドは『Video Days』('91年)で目にしていたので(おったまげた)多少なりとも免疫があったものの、バックサイドを目にしたときは、普段から大人しい子だったのですがこのときばかりは発狂しました。
 なんでまた藪からスティック(きなこ棒ではないぞ)にBSNBSなのかというと、ゲームチェンジャー根岸 空のPick Upパートの影響。BSNBSを涼しい顔でやりまくっているというか、もはやデフォルト扱い。トランジションではもちろん、ハンドレール、ハバレッジって…。なにはともあれ、BSNBSを標準装備する日本人が出てきたって事実に驚愕するとともに、そのルーツを辿ってみるのもスケートボードの楽しみ方のひとつ。暇人万歳!

─KE



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