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──2020年問題

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 なにも今に始まったことでもないんですが、パークなんかに行きゃ少なからず見かける光景…親によるキッズスケーターへの過度の介入。とくにコンテストでの滑りに特化したスパルタ指導により、狙ったトリックやラインを必死にこなす姿が見受けられます。「あと3回乗るまで終わりません!」みたいなやりとりは、仲間と遊び感覚で育ってきた自分たちのようなスケーターの間では鉄板ネタ。「今日もなんかスゲー親いたねw」と。
 もちろんですが、コンテストに向けたスケートを模索するのも、親が子供にアドバイスするのも批判するつもりはありません。しかしその度が過ぎたスパルタ指導の姿たるや、僕らみたいな「放し飼い」のスケーターから見ると滑稽。そしてその状況下で滑らされる子供を見て、いたたまれない気持ちにもなるのです。特に近年の日本人スケーターの世界的活躍や東京オリンピックでの快挙もあり、そんなスパルタ指導も顕著になってきたように感じます。そしてそれはスケートが盛んな都市エリアだけでなく、比較的のんびりした地方でも増加の一途にあるようで…。
 それの何がよろしくないのか。本来スケートボードは難しいトリックや最新の流行トリックを習得すればいいのではなく、まず何よりも楽しく面白く、より自由な発想で、そこから新しい可能性を作っていくことが重要、というかイケてるっていう話。その繰り返しで自分のスケートの土台が形成されてくると自分の意識とは無関係に周りが評価し、そこでスケーターとしての立ち位置が定まってくるってもの。そこの理解がまるっきり抜けた指導の下では、根底にある最も重要な部分が刈り取られたまま上達していったり、段階をすっ飛ばして目立たせるってことばかりに目が行きがちで、見ているこっちもなんだかツラい。挙げ句、「あのトリックやったら高得点だから…パパが喜ぶから…」と平然と言うキッズの姿もあるというのだから驚愕。
 言わずもがな何よりも滑稽なのは、そんな指導をなさる親御さんがロクにスケートができないパターンが実に多いってこと。「あーだこーだ」と一丁前に高難度トリックの名前を口にする姿も、なんだかもう(笑)。逆に親が根っからのスケーターだと、ある程度の基礎さえマスターさせればあとは次第に放し飼い、そこでキッズは共に楽しくスケートできる仲間を作り、のびのびやりながら上達してるってことが多いです。はっきりと申し上げておきたいのは、いくら(子供の)スケートボードに理解や関心があり、時間やお金をかけてると言っても、自分がスケートに打ち込んでいないのであればその根底にある大事なものを理解することはできません。であればスケートに関する指導は最低限にとどめておき、あとは信頼のおける地元の仲間や先輩スケーターらに任せ、そこで揉まれながら目標を作ってやってくのが子供にとっても楽しいはずだぜ!! ってのは放し飼いの経験しかない僕(独身)が言っても説得力に欠けるだろうか(汗)。
 2020年代、今後も次から次へと世界の舞台で活躍する日本のスケーターが増える可能性は大。ありがたいことに全国にいいパークもポンポン建設が進んでいます。一方でその裏に潜んでいる親御さんによる過度の指導、これがまるでイケてないっていう認識が広がるといいと思うし、それを広めるのは根っからのスケーターたる「こっち側」に残された課題なのではないでしょうか?

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 



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