スケートはハードだ。激しく地面に叩きつけられることはしばしば。当然身につけている物の消耗は、普通に生活している時間に比べると格段に早く、とりわけパンツの膝なんかはすぐに穴が開いてしまう。せっかくの新品を手に入れても、初日でいきなりダメージ品に成り下がってしまうなんてことが実に頻繁に起こります。しかもスケートに真摯に取り組めば取り組むほど、この確率も上がってしまうのだからなんともやるせない現実。
そんなことからも、多くのスケーターたちに時代を超えて重宝され続けているのがワークウェア。いわゆる日本で言うところの作業着ではなく、DickiesやRed Kap、Ben Davisなどアメリカ製のワークウェアはそのタフネスさはいわずもがな、手ごろな価格帯に加え、機能性とデザイン性のバランスに優れたアメリカを代表する逸品です。今でこそファッションアイテムとしてその存在が世界中で認知されているデニムパンツも、元を辿ればゴールドラッシュに沸く1800年代、現在のアメリカ合衆国の礎を築いた鉱夫たちに愛用されたワークパンツであることを考えると、やはりスケート発祥の地であるアメリカとスケーターとの関係性は切っても切り離せないものがあります。
そこで今回は、長年スケーターに愛され続けて止まないワークパンツの中において、個人的にもその存在感を再確認したいアイテム、カーゴパンツのお話です。
'90年代には恐らく誰もが必ず1本は持っていたであろう、膝上の左右に取り付けられた大きなポケットと、後ろのポケットの内容物の転落防止のために付けられたフラップが特徴的なワークウェアで、別名シックスポケットパンツとも呼ばれます。軍隊が採用しているアーミーパンツがそのイメージとして定着しているように思われますが、このカーゴパンツも、元は貨物船員のワークパンツとして世の中に登場したアイテムのようです。
その最大の特徴である左右のポケットにワックスやスケートツールを忍ばせてスケートしたかと聞かれると、正直携帯も財布もできることならスケートのときは持ちたくはない人間としては耳が痛いのですが、後ろのポケットのフラップはスケート時にはいい働きをしてくれます。そして何よりもこのカーゴパンツのポケットの存在感が、実にバランス良くスケーターのシルエットを創り出してくれるように思うのです。
てことで論より証拠、カーゴパンツのシルエットが確実にイケてるスケーターの映像で、みなさんもそのかっこ良さを再認識してみてください。
--TH (Fat Bros)