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ノンフィクション
──慎重派

2021.01.29

 ストリートでスケートする時、近くを通る歩行者や車がどうしても気になる派です。小さな子供やお年寄りが通るときはなおさらで「板飛ばして大怪我でもさせたらマズい…」と思い、確実に大丈夫な状況になるまでスケートは一時中断。それは自分が滑る側でなく、誰かがトライ中の事故を防ぐべく合図を送る、いわゆるスポッターとしての場合もまた同じ。ときに安全・安心を意識し過ぎるがあまりにスケーターの動きを止めては「ちょっと時間を浪費しすぎたかな…」なんて思うこともあります。よく言えば安全第一、悪く言えばただのビビリ、そんなところでしょうか。
 そんな自分ですが、映像で道行く人や車をすり抜けたり上手くかわしつつトリックを繋いでいく…そんなスケーターのギリギリな動きを見るのは好きです。人の少ない場所ではそのような状況ってほとんどないはずなので、人の多いエリア、特に都会での動きということになってきます。これが自然な感じでこなせてるスケーターってシティボーイ度高め、かっこよさも3割増しに見えるんすね、フゥ〜! もちろんですが、都会でのスケート至上主義を宣うわけでなく、あくまでスキル面でのお話。人や車の波を交わしつつのスケートもひとつの立派なスキルだと思うんです。「同じ波はもう来ない」と言うようにサーフ的というか、アドリブが試され、何より衝突などの事故を回避する腕前も備わってなくてはなりません。
 ついでに言うと、ときたま映り込む街の人の様子も面白く観察させていただいております。後ろを振り返ってその一部始終を目で追う人、トリックをメイクするとちょっと驚いた様子で明るい表情を浮かべる人、スケボーに驚いて飛び上がっちゃう人、怪訝な表情で見ている人…ときにそんな人々の動きの方が気になり、映像の主役であるはずのスケーターのパフォーマンスよりもそっちに目が行ってしまうこともあるくらいです。ギャラリーが形成されているような場面もいいですね。スケーター的にはつい張り切っちゃうところ。少し前まで、「ザ・外タレな面々が街中でスケートをしていると多数の地元民がそれを物珍しそうに眺めている」というのがアジアの国々(日本を除く)で見られる定番としてビデオに登場していました。最近はそんなシーンが映し出されるのも少なくなっちゃいましたね。世界的にスケートボードが浸透し、もはや珍しいものでもなくなったということなのでしょう。喜ばしいことながら、一抹の寂しさも感じている今日この頃です。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 





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