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スケートパーク論争
──コピペ

2024.03.01

 昔の自分といえば「近くに新しくスケートパークができた」と聞けばそれはもう大騒ぎで、多少行きづらいような場所でもバスに揺られ行ってみては滑り倒すキッズでした。それは日本各地にパブリックパークができ始めた頃の話で、そもそもパークなんてのはビデオや雑誌の中で見るようなもの。普段はスケーターが溜まる近所の公園や広い駐車場、時に仲間と結託して見よう見まねでボックスなどをDIYで作ってボムる…という当時としてはどこにでもいるようなガキだったわけです。やはり普段とは違うパークセクションで滑れるってのは新鮮で、そこらで滑るのとはまた違うパークでの滑り方や暗黙の了解といったものを吸収していくのが楽しみでした。
 時は経ち、パークも珍しい存在ではなくなった現在、自分に失われたものといえば新しいパークに足を運んでみようという貪欲さ。滑れる場所が増えるのはありがたいことですが、「また似たような作りのものが…」と難癖をつけては行こうとしないのです。工業製品化された据え置き型セクションが並ぶパークは多少似通った作りになるのも理解できるのですが、そのセクションのセレクトやサイズ感、レイアウトもセンス次第で面白くなったり残念になったり。僕は知っている…地元にあるパークと関東某所にあるパークのセクションとそのレイアウトがまんまコピペしたような瓜ふたつのものであることを。スケートパークとは単なるスケボー練習施設ではなくて、それぞれがデザイン性を持つ建造物であるべきだと思うのです。まんま同じパークを作るってのは完全にそこをスルーし、「私共はデザインする作業を放棄します」と言っているようなもの。
 コピーとサンプリングという言葉をよく聞くと思います。創作物に関して、コピーはディスの対象になり得ますが、サンプリング、つまりは元ネタにリスペクトがある上でその一部を取り入れることはスケートパークのデザインにも大いに適用できるかと。先日、雨を避けるようにして向かった先は福井県。「ふくい健康の森スケートパーク」というパークに滑りに行ったのですが、そこには海外のクラシックなストリートスポットをサンプリングしたセクションがずらり。SFのピア7に3 Up 3 Downのステアやチャイナバンクス。LAのコートハウスにJkwon、ヴェニスビーチ。バルセロナのMACBA。パークの外にある3rd & Armyの曲がりくねった極太レールには、お婆ちゃんらが散歩の合間に腰掛けてひと休みしています。たしかこれら、建設される際に現地のスポットを実際に採寸し、それらをもとにリサイズされたりしたもの。そう簡単に海外に滑りには行けずとも、本物のヴァイブスを感じることはできるはずで、そこで練習を重ね、現地で実践できればアツいっす。それらセクション群とは別にコンテストエリアも設けられているのですが、個人的にツボったのはピラミッド。テールを叩いてみた直感だと、それは旧宮下公園のパークそのまんま。狙ったのか単なる偶然か、そんなことは知りかねますが、ほぼ毎日のように宮下にいた身としては懐かしくもあり、当時の動きを再確認するいい機会となりました。
 ちなみに旧宮下公園のスケートパークを利用していた人は驚くほど口を揃えて言います。「あのまんま、まったく同じに再現されたパークが欲しい!」と。多くの人にそう言われるパークって聞いた試しがありません。自分もまさにそう思うのですが、仮に実現すればそれは「コピー」と言えるだろうか。ともすれば「それはダブルスタンダードだろっ」ってツッコミすら入りそうですが、そうお熱くならずに。「イイものはイイ!!」ってことでお手柔らかにオナシャーッす...。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




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