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そこに愛はあるのか
──ものづくり

2021.07.16

 ついひと昔前ぐらいまでは、たとえばボードカンパニーを立ち上げ、運営することができるのはごく一部、いわば「特権階級」にいる者のみがなし得る印象でした。資金、海外の生産拠点との接点からやりとり、そして生産したモノが売れるだけのネームバリューも必要とされたりと、そこにはクリアすべき課題が多く存在していたはずです。
 時は過ぎ現在、諸外国にデッキをプレスする工場も増え、オーダーを仲介してくれるところもあったりと、個人で好きに板を作ることのハードルが下がりました。「スモールカンパニー」と呼ばれる立ち位置で運営されるブランドがもはや数えきれないほど増えた所以です。実態はわからずともナイスなグラフィックを打ち出しているところにはつい反応してしまうし、「これはちょっと...」てなところをインスタ広告を通して知ることも日常茶飯事。
 「千里の道も一歩から」ということわざを聞いたことがあるかと思います。「自分でブランドを立ち上げてみたい!」「活動をしてみたい」と思う人にとっての第一歩が踏み出しやすくなったわけです。もちろんボードカンパニーに限った話ではありません。Tシャツでもステッカーでも、取り掛かりやすいモノから始めてみるのでいいんです。そんなものづくりも軌道に乗るにつれて次なるフェーズ、つまりは他にないこだわりやアイデアを取り入れたオリジナルの製品づくりへと昇華していけてるところってやっぱりスゴいんす。スケートカンパニーに限って考えるとギアを1から試行錯誤で作っているようなところ。シェイプやプレスの加工にまでこだわった板、さまざまなテラインでポテンシャルを発揮できる素材からこだわって作られたウィール、他社とルックスが被るようなことがあってはならないトラックやシューズがその最たるものではないでしょうか。
 ギアを買うお金を捻出するのですら必死だった10代の頃には見えなかったそんなところ。と言いますか、いくら歳を取ろうがそう簡単には覗けるようにはなっていないはずのブランドの手の内、内側の部分。せっかくであればその収益が上手くスケートコミュニティに還元・循環され、イノベーションに繋がる動きを見せているようなところのモノを買いたいですね。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 





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