
最近少しだけ戻ってきたというか、比較的自信を持ってトライすることのできるレッジトリックがあるんです。ただそれは普通のFsノーズスライドなんで、体力気力ともに満ち溢れ、いずれはシェーン・オニールのような魔法のコンビネーションを狙っている猛者たちとは早くもここでお別れですが、話はそこから少し展開するので、またもやあいにくの天気になりそうな週末を前に、どこのインドアを狙おうかと時間を持て余している方はしばしお付き合いを。
言わずもがなレッジトリックというものは実にさまざまですが、向き合っているトリックにある程度自信がついて、スピードに乗せて距離を稼ぐメイクができるようになると、グラインドやスライドってホントに気持ちがいいものです。完全に個人的な好みですが、難易度の高いトリックで1メートル滑らせるより、シンプルでも突っ込んで5メートルくらい流せるほうに憧れます(もちろん両方イケるのが最強)。そしてこの鬼流しメイクに最も体感的な気持ち良さを付け加えてくれるのではないかと思う条件、それこそがいわゆるラウンドレッジだと思っています。
少し前の時代にけっこう流行ったアプローチのひとつではありますが、いくつもの伝説的メイクが達成されたスポットとしてはLAのUSC LedgesやSFの3rd and Armyあたりがスケート世界遺産認定済みです。ただUSC Ledgesなんかは最近まったく映像で見かけることがないので、ひょっとするとすでにそのスポットとしての役目を終えているのかも知れませんが、それにしてもこのラウンドレッジというやつは流行り廃りの話はさておき、自分でメイクするのも、見事なカーブを描いてメイクする映像を観るのも実に楽しいものなので、昨今公私問わず世界各地に増設された多くのイケてるスケートパークや新たに発掘された路上スポットにおける、ラウンドレッジ完備率の低さをひそかに嘆いているのはきっと自分だけではないはず。
もちろん巷のタイヤ停め縁石や歩道のフラットレールにボウルのコーピングなどなど、ラウンド部分をスィーっと楽しめる環境は探せばいくらでもあると思いますし、それらすべても例外なく楽しいものなのですが、やはり腕(足?)に磨きをかけた渾身のレッジトリックは、たとえそれが単純なトリックだとしても一度はラウンドレッジで気持ち良く流してみたいものです。
─Takayuki Hagiwara(FatBros)
レッジの湾曲度、高さ、そしてトリックチョイスも最高レベルの攻めっぷり。まさに論より証拠なAVEによる伝説達成の瞬間。
比較的低いこのレッジですが湾曲度はかなりなものなので、調子に乗ると丸レールの向こう側にもれなく落っこちます。
まるで水面のミズスマシのようにスムーズなレッジトリックを魅せるジェリー・ファウラー。本業である救急救命の手際もそれは見事な手さばきなのでしょう。
このベニスビーチの湾曲レッジは見た目よりも全然滑らなくて苦戦します。なのでここでのノーリーノーズスライドはさすがとしか言いようがありません。