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最重要パーツ考察
──トラック業界

2024.03.22

 もし自分の培ってきた経験やイマジネーションをブランド化、プロダクト化できたなら…。そしてそれがヒットしたらどれだけ最高なことだろう。実際にやるつもりはありませんが、「もし自分がアパレルブランドやデッキカンパニーをやるなら、どんな面白いものをグラフィックに取り入れようか、どんなイメージを打ち出せるのだろうか…」。そんなことをイメトレしながらスケートシーンや風景、カルチャーなどを眺めてはこっそりニンマリしております。きっと自分みたいに考えるヤツは少なくないはず。そして活動派の一部の方々が実際にブランドを立ち上げるのを繰り返し見てきました。比較的参入しやすい分野でもあるため、どうも近年では胡散臭いブランドなんかも激増している感が否めません。なんだか、飽食気味よね。
 それでは最も参入が難しいのはトラックブランドになるのだろうか。綿密に計算されたフォームを一から設計、工場に金型を発注、ブッシュやピボットの仕様も考慮しなくてはなりません。もうそれだけでかかる初期費用は計り知れません。さらにライドテストがあるわけですが、ちょっとやそっと乗っただけでは不具合や改善点を洗い出すのは至難の業。トラックなんて数ヵ月使ってみてようやく消耗具合や不具合が見えてくるものだから。それらも経て、さらに改良され、いざショップに並ぶまでにどれほどのお金と時間を要するかと考えると、素人にはまず手を出せないのであります。
 参入が難しいこともあり、長いことトラック業界でシェアを獲得してきたのはIndy、Venture、Thunderの3大カンパニー。Aceもユーザーがかなり増えていることを踏まえるともはや4大と言えるでしょう。そして気になるのはここ3年前後で産声を上げたばかりの新鋭トラックカンパニー。具体的にはFilm Trucks、Slappy Trucks、Lurpiv Truck Companyといったトラックカンパニー。他にも新しく立ち上がったカンパニーもあるはずですが、国内ではFilm TrucksとSlappy Trucksはすでにショップに並び、Lurpivもこの春から入手できる模様です。早くも試しに乗ってみた人もちらほら見かけ、そんな方々の板を拝借して乗り心地を確かめたりするのですが…うん、わからない! やはりじっくりと自分で乗ってみないことにはその良し悪しなんてわかりっこないのです(笑)。
 しかし新しい3つのトラックカンパニー、それぞれを主宰するスケーターも納得の面々。LurpivはPolarの看板ライダーで東京オリンピックにも出場したオスキーことオスカー・ローゼンバーグ。Film Trucksはかつてヨーロッパのシーンを牽引していたClichéを立ち上げ、近年ではスラッピーコンテストも開催しているジェレミー・ダクリン。Slappy Trucksはスケーターとして活躍後、長年Tum Yeto系列のカンパニーやNike SBで裏方業務をこなしてきたマイク・シンクレア。きっとそれぞれの理想とするあり方が、改良を重ねながらトラックに反映されていることでしょう。
 トラックを乗り換えるのって、ちょっと勇気がいります。個人的には長年Aceを愛用してて、新しいトラックカンパニーも大いに気になりつつもなかなか手が出せませぬ。僕が信頼を置いているAceがいいのはそのデザインや性能はもちろんのこと、トラック周りの細々したパーツにも新しいテクノロジーを取り入れたりって攻めの姿勢を崩さないところ。新鋭のトラックカンパニーは今後どう育っていくのだろう。まだ数少ないトラック業界を引っ掻き回してくれると面白いですね!

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 





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