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橋萌え
──UNDER THE BRIDGE

2020.07.24

 スケートに適した場所について考えたときにまず思い浮かぶのは、キレイな路面があり、乗ったり降りたりできる段差があり、スライドやグラインドができる場所でしょう。そのような場所は、縁石の角が削れて丸まっていたり、壁や地面にウィールの跡が残されていたりするもの。そしてそれを見ながら「ここにスケーターあり」とニヤニヤしたりするものです。このような好条件に恵まれ、しかもセキュリティや近隣住民からの苦情もないような場所となれば、自然とスケーターが集まりメディアを通して名スポットとして定着していくのでしょう。一般的には公園の一角なんかがその最たるものであるはずです。
 隠れ好スポットが多い場所、それは実は橋の下。線路や高速道路などの高架下なんかも含めるとその幅も広がり、バンクやウォールがある場所も多く見られます。薄暗く景観もキレイとはいえず、薄気味悪い感じもするのですが、スケートの背景として「映える」ことも。そんな橋の下に好き好んで立ち入っては活動したがるのはおそらくスケーターやストリートの絵描き人、ホームレスのパイセンぐらいでしょう。
 我々スケーターがそこで滑るのはもちろん合理的であります。まず雨をしのいで滑ることができる。人目につきにくく、交通騒音があるためスケートのノイズがさほど気にならないことも。近隣住民やセキュリティの厳しい都心でも橋の下にあるようなスポットって意外と攻めることができるものです。また近くで水をゲットできるのであれば、こっそりとコンクリートをボムしているところも。全国的にパブリックパークが増加の一途にありますが、デッドスペースとなっている橋の下をスポットとして利用するケースも増えるとうれしいですね。
 バーンサイドにリーサイド、FDR…。並々ならぬ労力や資材を注ぎ込み歴史を作り続けるモンスター級のパークに憧れ、リスペクトの念を持っているつもり。一方で、たまたま通りがけた先にしれっとコンクリートが盛られていると、そこでの可能性をイメージしたり、製作者の影の仕事を想像してみたり。橋の下の怪しい空間にはそのようなものが潜んでいることが多く、見つけてはニヤリとしてしまうのであります。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




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