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この『HEAVEN』という写真集はレニー・カークというスケーターを題材にしたもの。それはそ…
──HEAVEN

2017.06.12

 先日、デニス・マクグラスというフォトグラファーが来日し、SLIDERの取材でじっくりと話を聞く機会がありました。デニスとは数年前に取材で訪れたSFで会ったきり。彼の手がけた『HEAVEN』という写真集がずっと欲しかったのでまだ購入可能か聞いてみると、なんと5冊だけ日本に持ってきているということ。この『HEAVEN』という写真集はレニー・カークというスケーターを題材にしたもの。今の若者はその存在すら知らないかもしれませんが、それはそれはクレイジーな…というかクレイジーになってしまったスケートコミュニティの伝説です。
 レニー・カークは'90年代半ばにAlien Workshopの一員として活躍し、危険を顧みない独特なスタイルで人気を集めました。しかし、それ故に狂気の道を歩むことになってしまいます。'97年に『Timecode』で強烈なパートを残したのですが、その撮影中に頭を地面に強打(同パートのイントロに収録)。それ以来、狂信的なキリスト教徒になり、数々の奇行を繰り返すようになっていきます。素晴らしいパートがリリースされ注目が集まる中、レニーは各地のデモやセッションでスケーターをキリスト教に勧誘しまくりひんしゅくを買うように。聖書を信じないスケーターはレニーにとって罪人。罪人だらけのコミュニティになどいたくないということで、レニーは次第にスケートから離れていき、当然プロモーションの妨げになるということでスポンサーも彼から離れていきます。その結果、'90年代終わりにはホームレスに。'02年にはSFのストリートでショットガンを手に強盗をしているという噂が広がります。そして刑務所へ。'06年から'10年にかけてもさまざまな犯罪で刑務所を出たり入ったり。さらには'13年4月16日に恋人を誘拐し暴力を働いたとして懲役13年の判決を受けて現在も服役中。しかも、これら奇行や犯罪行為は、レニーによるとすべて神のためにやったということ。犯罪を犯しているという意識はまったくないのです。
 『HEAVEN』のページをめくっていると、デニスが「レニーは刑務所に行って正解だ。このままだと誰かを殺したり自殺していただろう。レニーの家族に相談しても、彼らも敬虔なキリスト教徒だから『神様がなんとかしてくれる』としか言ってくれないんだ」と話していたのが印象的でした。まさに転落人生。この『HEAVEN』にはレニー・カークの狂気が詰まっています。もしかすればまだオンラインで数冊残っているかもしれないので、興味のある人は検索してみてください。

--MK

 


AWS『Timecode』のレニー・カーク。問題のスラムは1:16〜。

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