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覆水盆に返らず
──幻のハードフリップ

2020.03.30

 3日という限られた期間で撮影する72 HOURSの最新エピソードはチェックいただけましたでしょうか? New Balance Numericの面々をフィーチャーした本シリーズ。上村 颯小鈴大和に続く第3弾は王道を極めた正統派スタイルで知られる佐川 涼。
 この企画がかなりハードであることは言うまでもありません。それぞれの撮影日を最大限に活かすためにキックアウトの少ないスポットをセレクトしたり、効率よく動けるコースを考えたり。モチベーションが下がらないように確実に撮れるトリックから攻めたり。スケーターによって取り組み方はさまざまですが、これは例外なく体力と時間との戦い。これまでこの企画を形にしてきたスケーターには無条件で脱帽せざるを得ません。
 そんな72 HOURS、今回の佐川 涼のエピソードには超絶ヘビーな裏話が。実は担当フィルマーがデータのバックアップを怠り、バンガー級の映像が消えてしまうというありえないトラブルが発生していたのです…。覚えているだけでもハンドレールのリップスライド、マニュアル全般、ノーリーハードのバンクインなどが消滅。そのためそれらを撮り直すという前代未聞のミッションを課されることに。
 ただしどうしても再撮の利かないトリックも。それが上記のウッドデッキの写真。実はここでハードフリップをメイクしているのですが、撮影した後にスポットそのものが取り壊されてしまったのです。スポットがなければクリップの再現は不可能。とにかくこのハードフリップがなかったことにならないうよう、恥を承知でお伝えさせていただきます。
 フッテージの損失がなければさらにヤバいエピソードになっていたと思うと…。めげずに最後まで諦めずやり遂げてくれた佐川 涼にはリスペクトしかありません。このようなトラブルがあったことを知った上で改めて彼のエピソードをご覧ください。
 とりあえずステアの下でしゃがんで盗撮してる観光客のおっちゃん! これを読んでたらフッテージ送ってくれ!

--MK

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