おそらく初めてこの人の存在を知ったのは2012年。ビル・ストロベックがSupremeのために手掛けた“Buddy”というCM。まだ14歳の少年がジェイソン・ディルとともに登場し、大人顔負けのスキルとスタイルでハンドレールやNYCのコートハウスのドロップスポットをしばき上げていたのが印象的。やがて少年はSupremeやadidas Skateboardingの作品で強烈なビデオパートを残し誰もが認めるスケーターへと成長。さらには2018年度のSOTYを獲得してスケートコミュニティの頂点に君臨。
この人の最大の武器はなんといっても超人的なポップ。そして酒、タバコ、ウィード、ドラッグなど一切摂取しないストレートエッジの姿勢によって引き出される生産性の高さ。撮影時は早朝にミートアップして狙ったトリックをゲットするということもしばしば。さらには19歳にして地元ブロンクスにカリビアン・アメリカン料理(ジャマイカ系ね)を提供するレストランをオープン。プロスケーター引退後に専念でき、家族を支えることのできるビジネスを始めるという地に足のついた感じにも好感が持てます。決して裕福な家庭の出身とは言えないブロンクスの少年がスケートボードで大成するというサクセスストーリー。adidas Skateboardingからシグネチャーシューズを与えられたのも頷けます。
そんなタイショーンが世界から脚光を浴びるようになるまでの道程をフィーチャーしたミニビデオがファッションメディアのi-Dから公開されました。トニー・ホーク、エリック・コストン、チャド・マスカ、アンドリュー・レイノルズといった偉大なスケーターたちが彼の功績を称賛。ディレクターを務めたのも『Away Days』を手掛けたマット・アーヴィングということで素晴らしい仕上がり。スケートコミュニティの枠組みを飛び出し、i-Dの表紙も飾っております。これぞ“キング・オブ・ニューヨーク”の名をほしいままにする所以。
「タイショーンはマイケル・ジョーダンのような存在。バスケを知らなくてもその素晴らしさは誰でもわかる」ーージェイソン・ディル
--MK