個人のパートやフルレングス、その形は問わず新しく映像作品がリリースされるタイミングには何かしらの形で試写会が開かれることが多いです。若い頃と比べ多少は忙しくなり、また都内から少し離れた場所で生活をしている現在、そんな試写会に足を運ぶ機会も少なくなってしまいました。しかしタイミングよく行けたり、「ここぞ!」という場合には多少遠出をしてでも行く場合もあります。それは衝撃やインスパイアを与えてくれるものであり、あちらこちらからやってくるスケーターとの交流や情報交換の場であり、自分にとってのささやかな楽しみとなっているのは今も変わりません。
近年ちょこちょこ見かけるようになったのは、そんな試写会の有料化。主に個人が作るもので、フルレングス作品の試写会にエントランス料金がかかるわけですが、それはこれまでに見られなかった光景です。これまでの試写会といえばスケートショップやバー、時には映画館を貸し切って上映されるも基本エントランスフリー、場合によっては飲み物にフード、ノベルティまで付いてくることも少なくありません。僕が20代、渋谷の宮下公園で毎日のようにスケートしていた頃はそんな機会が毎週のようにあり、ローカルの仲間と滑り終わってから足を運ぶのが定番の流れでした。
コロナ以前の光景、「あの頃はまだ景気が良かったのかもな…」といえばそれまでですが、そこはプラスにとらえたい。人からお金を取れるまでに各種作品の価値を上げてきているのだと。現在も行われている、フリーで入れる試写会も少なからずのコストがかかっていることを忘れてはいけません。会場を抑えるコストに試写会のスポンサーをしてくれる企業を探す手間、そして言うまでもなく撮影で動き、編集にかけるコスト。作品の作り手はそれらの多くを負担し、僕らを楽しませてくれるわけです。エントランス料金を取ることでそれらコストが軽減されることとなれば、作り手にとって大きな助けになるはずです。新しい機材を購入したり、次の制作に向けてツアーを組むこともできるだろう。それがまた次へのモチベーションや行動へと繋がるのであれば観ている側としては喜ばしく、さらなる応援をしたくなるものです。
これまでさんざんエントランスフリーの試写会で楽しませてもらってきた僕らスケーター。それはもちろん財布の薄っぺらいスケーターにとって最高の機会なのは間違いないけれど、今後はエントランス料金のかかる試写会の割合も増えていくことでしょう。これまでの免罪符じゃないけどさ、あえてお金を払って観る機会というものも大切にしたいと思うこの頃っす。特に見知った仲の人が作るものであればなおさらね。いろんな作り手の顔と努力が思い浮かびます。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)









